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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第208回

x86だけでなくARMの市場を狙うAMDのサーバー向け戦略

2013年06月24日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/

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 2週間前にロードマップを更新したばかりでまたか、と思われるかもしれないが、いくつか重要なことがわかったので、改めてAMDのロードマップを説明したい。

AMDが19日に記者説明会を開催し、サーバー向けプロセッサーのロードマップを公開した

Turbo CORE最大時5GHz超えの
「AMD FX-9590/9370」を発表

 まず2週間前からのアップデートで言えば、6月12日にAMD「FX-9590」と「FX-9370」を発表(関連記事)したことが最初に挙げられる。連載206回の最後で触れていた「新製品」である。

 Turbo CORE最大時には5GHzまで動作周波数が引きあがるという壮絶なものであるが、価格やTDPについては一切公式発表なし。プレスリリースによれば、提供方法と時期に関しては、「今年の夏に、システムインテグレーターを通して世界中で提供開始」とある。コアそのものは既存のPiledriverベースであり、相当オーバークロックし、電圧を盛った状態で動作させていると思われる。

AMD「FX-9000」シリーズのプレスリリース

 ここからは非公式情報であるが、「FX-9590」のTDPはピークで200Wオーバー(220Wという説と230Wという説がある)に達するという。ここまで高いと、実は対応しているマザーボードもそう多くない。

 BIOS云々の前に、そもそも電源回路が200Wオーバーを安定して供給できる構成になっているかどうかが問題で、各社のハイエンドマザーボードであっても「絶対に大丈夫」とは言いにくい。また、コア電圧がどの程度になるのか、というものまだわかっておらず、このあたりの対応も問題になる。

 また、200Wオーバーとなると空冷で持つかどうか甚だ怪しい。現実問題として水冷キットは必須で、それも結構な熱容量を持つものが必要とされるだろう。こうなるとリテール販売ではなくシステムインテグレーター経由というのも無理ないところ。最低でも対応したマザーボード+200Wオーバーの発熱に耐える水冷クーラーをセットにしないと、電源投入即マザー焼失や冷却が間に合わずにCPUが熱で破壊されるといったことになりかねない。

 どちらかといえば、インテルにどうしても対抗すべく意地で作り上げた製品という意味合いで、少数売れればよい(その意味では、インテルの「Core i7 Extreme Edition」よりもさらにターゲットが狭い)という割り切りの元に生まれた製品だから、こうした売り方も可能なのだろう。

2014年までのロードマップをAMDが公開

 さて、今回の本題はこれである。米国時間の6月17日の23時(日本時間では6月18日の15時)、AMDは2014年までのサーバーロードマップを突如公開した(関連リンク)。日本でも翌19日に記者説明会が行なわれて、このロードマップの詳細が発表された。ここから色々わかったことがあるので、こちらを解説したい。

2014年までのAMDのロードマップ。BerlinはまるでWarsawに先駆けて投入されるように見えるが、実際は「2014年前半のどこか」であって、現実問題として「2014年第1四半期」に投入されるWarsawの方が先の可能性が高い

 上の画像が公開されたロードマップである。ポイントとしては3つある。

  • 2P/4P サーバー向けには、2014年第1四半期を目処に、Warsawコアの製品を投入する

  • 1P向けには現在「Opteron 3300」が投入されているが、2014前半中にBerlinコアの製品を投入する

  • 1PのHigh Density向けには、先日Kyotoとして発表された「Opteron X1150/X2150」が投入されているが、ここにAMDベースのSeattleコアを投入する

 次ページ以降で、これを順に説明していこう。

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