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マイクロソフト・トゥディ 第50回

日本MS樋口社長、「さらにアグレッシブに取り組んでいく」

値下げ効果絶大! 「Surface RT」が前週比6倍の売れ行き

2013年06月20日 11時00分更新

文● 大河原克行

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値下げ発表で、改めてSurface RTを見たいという来店客が増加

 では、6月14日以降のSurface RTの売れ行きはどうなのか。

 ビックカメラによると、Surface RTが値下げされた6月14日から16日までの3日間の販売台数は、同社全店において、前週比6倍という驚くべき販売台数に達したという。

 「iPadをはじめとする様々な製品が値上げの傾向にある中、値下げに踏み切ったという点でのインパクトは大きい」と、ビックカメラでは語る。6月7日のSurface Proの発売にあわせて多くの来店客が売り場を訪れたというが、「値下げになったことで、改めてSurface RTを見てみたいという来店客が増えている。Surface Proの発売と、Surface RTの値下げとが相乗効果となって、Surfaceへの注目度が高まっている」としている。

ビックカメラ赤坂見附駅店では、3階のPC売り場の下りエスカレータ前にSurfaceを展示

 ビジネスマンがSurfaceを購入する例も多く、「Officeが入っていることでの実用性の高さのほか、タプレットとして使用した際にも、スタンドが標準で付いているため、オプションでスタンドを購入しなくて済むという点も好評」だという。値下げ期間中の今後の売れ行きにも注目が集まる。

限定期間が終了したあとは?

 気になるのは、限定期間が終了したあとのSurface RTの売れ行きである。

 仮に、1万円安くなった参考価格を元に戻した場合、Surface RTの「圧倒的な競争力」は、一気に失われることになるだろう。好調とされる販売数量は減少することが予想され、マーケティング上でも大きな課題が発生することになる。

 それに対して、樋口社長は次のように語る。

 「今回の参考価格の引き下げは、日本マイクロソフトが機敏性を持って即断即決で決定した。もし、引き続きやらなくてはならないということであれば、さらにやることも検討したい。“行ける”と考えたら即断即決でやる」とする。

 同じ価格戦略で継続するのか、あるいはまったく別の施策になるかといった具体的な施策については、「今後のことは決めていない」と明言を避けるが、「今回の反応や、マーケットシェアの動向をみて、行けると考えたものをやりたい」とする。

“チャレンジャー”として、アグレッシブに取り組む

 こうしたコメントから今後の取り組みを裏読みすると、今後も、Surface RTに関する継続的なマーケティング施策が展開される可能性は高そうだ。7月から新年度に入る日本マイクロソフトにとっては、新たな予算措置のもとで、新たなマーケティング戦略を打ち出すことも可能だろう。

 「Surface RTは、他国に比べて、日本での販売は好調だが、タブレット市場においては、チャレンジャーであることに変わりはない。マイクロソフトは、Surfaceに社運をかけて取り組んでいる。その点ではまだまだ。少し良かったくらいで満足してはいけない。さらにアグレッシブに取り組んでいく」と語る。

日本マイクロソフトのシナリオ

 日本マイクロソフト社内では、「本命」とされるSurface Proよりも、タブレットとしての側面を打ち出すSurface RTのほうを売りたいという機運がある。

 「Surface RTがiPad対抗ということであれば、アップルの販売台数構成比から比較しても、Surface RTのほうが販売台数が多いという状態が、あるべき正しい姿」という認識が、日本マイクロソフト社内にはある。

 一方で、「タブレットみたいなPC」と表現するSurface Proは、いわばマイクロソフトの得意領域の製品である。積極的なマーケティングを行なわなくてもある一定の台数を見込める製品だといえよう。当然、競合が同じWindows陣営になることを考えると、そこに力を注ぐのはあまり得策ではないとみることもできる。

 つまり、Surface RTが先鋒となってiPadの領域を浸食し、Windows陣営の領域を拡大していくというのが、日本マイクロソフトのシナリオなのである。

 だからこそ、Surface RTにおいては継続的な施策が見込まれるというわけだ。

 7月15日以降、Surface RTの次の一手はどのようなものになるのだろうか。


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