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「世界最大のニューラルネットワーク」をうたう

NVIDIA、GPUを脳のモデリングに活用。物体の認識精度が向上

2013年06月19日 20時25分更新

文● 貝塚怜/ASCII.jp編集部

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 「現代の科学を以てしても○○%しか解明されていない」などのフレーズでよく語られる人間の脳。中でも多くの人が不思議に思うのは「学習」に関する部分かもしれない。

 見聞きしたものや訓練を重ねたもの、体感した事柄を留めておくことは、生活の大部分を占めていると言って良い。犬を見て「犬だ」と思うのも、「身体を硬いものにぶつけると痛い」と知っているのも、パソコンやスマートフォンを扱えるのも、全ては学習能力の賜物だ。

 GPU大手のNVIDIAでは、コンピューターによって学習能力をモデル化する試みを続けてきた。そして現地時間の6月18日、米スタンフォードとの協業によって、世界最大をうたう「人工ニューラルネットワーク(神経回路網)」を構築したと発表したのだ。

 ニューラルネットワークとは、神経回路網と訳される、人間の脳の情報処理の働きをモデリングした人工知能システム。学習機能をそなえ、脳と同様に知識が蓄積されていく。

 今回同社が構築したニューラルネットワークは、3台のサーバーに16基のGPUを搭載している。能力を示すパラメーター数は、112億にも達したという。並列演算能力が高いGPUを採用することで、従来のニューラルネットワークより処理が高速化し、物体の認識といったタスクの精度が向上するのだという。

 従来、認識性能の高いニューラルネットワークには、大規模なコンピューター資源を必要としていた。Googleが2012年に発表したニューラルネットワークは、約1000台のサーバーと1万6000コアのCPUを搭載していたという。数字だけでも規模のかなり大きなものだったことが分かり、今回のニューラルネットワークの効率の良さがうかがえる。ちなみに、Googleによるニューラルネットワークのパラメーター数は17億だったとのこと。

 同社では、「GPUが機械学習を大幅に後押しすることが判明したことで、今後、GPUのニューラルネットワークへの応用が進んでいくと思われる」と述べている。

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