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果物電池の最強は何だ!? 限界に挑戦 第2回

ラーメンやエナジードリンクでも自家発電できる?

2013年06月19日 16時00分更新

文● 藤山哲人

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もう何でもアリって感じ
まぐろ電池や鶏むね肉電池にも挑戦!

 ここまでは、お子様でも思いつく果物、野菜、飲み物と試してきたが、以降は禁断の食事系を言ってみよう。まずは筆者の昼飯のカップめんを食べる前に測定してみた。

カップヌードル、0.89V。いろんなものが入っているので期待したが結果はイマイチに終わった

 次に試したのは、匂いも強烈だし、滋養強壮にも効果がありそうなキムチ。さらに鶏肉とマグロの刺身も試してみた。

コリアンパワーのキムチは物足りなく0.85V

ジャパニーズさしみは、0.85V。キムチと大差ないのか!

鶏の胸肉は、0.83V

 さてここまでの結果をまとめてみよう。一般には「果物電池」や「レモン電池」と言われているが、「まぐろ電池」や「キムチ電池」、「お酢電池」に「コーラ電池」と身の回りにあるものはたいてい電池になる。ただ効率よく電圧を取り出すためには、酸っぱいものが有効だ。このグラフでもお酢がナンバーワンで、以降炭酸飲料や酸っぱいものが上位に入っている。電気を通すものとしてよく知られている塩水系(塩水やカップヌードル)は、さほど効率的ではない。

 第1話でちょっとだけ紹介したボルタさんが発明した電池。2つの金属はこの実験と同じ亜鉛と銅を使っていて、その間に挟みこんだ電解質には何を使ったのだろう? 実は皮膚をヤケドさせるほど酸の強い硫酸を使っているのだ。

似たり寄ったりの電圧は亜鉛と銅が決め手

 さて色々なもので電池を作ってみたが、多少の電圧の差はあれど、だいたい0.8~1Vの間に収まっている。例外は1話の最後で紹介した、亜鉛の替わりにアルミを使った場合。ここからも分かるとおり、果物電池から取り出せる電圧を決定付けるのは、2種類の金属だ。

 金属はプラスやマイナスの電気を帯びていて、その差が電圧となる。たとえば亜鉛は-0.76V、銅は0.34Vという固有の電気を帯びているので、その差の1.1Vの電圧を発生できるのだ。ただこれはベストな状態なので、実験結果は1.1Vよりやや低めになっている。アルミの場合は-1.676Vあるので、銅と組み合わせると最大2.16V取り出せるというわけ。そのほかの組み合わせとしては、次のようなものもある。

金属(物質)帯びている電気
リチウム-3.045V
アルミニウム-1.676V
マンガン-1.18V
亜鉛-0.7626V
-0.44V
ニッケル-0.257V
-0.1263V
水素0V
0.54V
0.7991V
白金1.188V
1.52V

 もしリチウムと金の板が手に入るなら、最大4.565Vの電圧が取り出せるというわけだ。モバイルバッテリーなんかにちょうどよさそうだが、恐ろしくお高い製品になるだろう。

 さてアルカリ電池(2酸化マンガン+黒鉛と亜鉛)やニッケル水素電池(水酸化ニッケルと水素吸蔵合金)も、2種類の金属(物質)で電解質をはさんでいる構造になっている。アルカリ電池は1本あたり1.5V、ニッケル水素電池は1.2Vの電圧が取れる。1.5V出せるニッケル水素電池があれば非常に便利なのだが、水酸化ニッケルと水素吸蔵合金を使っている限り1.5Vのニッケル水素電池は作れないのだ。

 次回の最終回は、レモン電池を使ってスマートフォンが充電できるか? を試してみよう。

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