もう何でもアリって感じ
まぐろ電池や鶏むね肉電池にも挑戦!
ここまでは、お子様でも思いつく果物、野菜、飲み物と試してきたが、以降は禁断の食事系を言ってみよう。まずは筆者の昼飯のカップめんを食べる前に測定してみた。
次に試したのは、匂いも強烈だし、滋養強壮にも効果がありそうなキムチ。さらに鶏肉とマグロの刺身も試してみた。
さてここまでの結果をまとめてみよう。一般には「果物電池」や「レモン電池」と言われているが、「まぐろ電池」や「キムチ電池」、「お酢電池」に「コーラ電池」と身の回りにあるものはたいてい電池になる。ただ効率よく電圧を取り出すためには、酸っぱいものが有効だ。このグラフでもお酢がナンバーワンで、以降炭酸飲料や酸っぱいものが上位に入っている。電気を通すものとしてよく知られている塩水系(塩水やカップヌードル)は、さほど効率的ではない。
第1話でちょっとだけ紹介したボルタさんが発明した電池。2つの金属はこの実験と同じ亜鉛と銅を使っていて、その間に挟みこんだ電解質には何を使ったのだろう? 実は皮膚をヤケドさせるほど酸の強い硫酸を使っているのだ。
似たり寄ったりの電圧は亜鉛と銅が決め手
さて色々なもので電池を作ってみたが、多少の電圧の差はあれど、だいたい0.8~1Vの間に収まっている。例外は1話の最後で紹介した、亜鉛の替わりにアルミを使った場合。ここからも分かるとおり、果物電池から取り出せる電圧を決定付けるのは、2種類の金属だ。
金属はプラスやマイナスの電気を帯びていて、その差が電圧となる。たとえば亜鉛は-0.76V、銅は0.34Vという固有の電気を帯びているので、その差の1.1Vの電圧を発生できるのだ。ただこれはベストな状態なので、実験結果は1.1Vよりやや低めになっている。アルミの場合は-1.676Vあるので、銅と組み合わせると最大2.16V取り出せるというわけ。そのほかの組み合わせとしては、次のようなものもある。
金属(物質) | 帯びている電気 |
---|---|
リチウム | -3.045V |
アルミニウム | -1.676V |
マンガン | -1.18V |
亜鉛 | -0.7626V |
鉄 | -0.44V |
ニッケル | -0.257V |
鉛 | -0.1263V |
水素 | 0V |
銅 | 0.54V |
銀 | 0.7991V |
白金 | 1.188V |
金 | 1.52V |
もしリチウムと金の板が手に入るなら、最大4.565Vの電圧が取り出せるというわけだ。モバイルバッテリーなんかにちょうどよさそうだが、恐ろしくお高い製品になるだろう。
さてアルカリ電池(2酸化マンガン+黒鉛と亜鉛)やニッケル水素電池(水酸化ニッケルと水素吸蔵合金)も、2種類の金属(物質)で電解質をはさんでいる構造になっている。アルカリ電池は1本あたり1.5V、ニッケル水素電池は1.2Vの電圧が取れる。1.5V出せるニッケル水素電池があれば非常に便利なのだが、水酸化ニッケルと水素吸蔵合金を使っている限り1.5Vのニッケル水素電池は作れないのだ。
次回の最終回は、レモン電池を使ってスマートフォンが充電できるか? を試してみよう。
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