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Appleのモバイル&サービス戦略を紐解く

WWDC 2013レポート後編—デザイン刷新の「iOS 7」

2013年06月14日 11時00分更新

文● 鈴木淳也(Junya Suzuki)

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「iWork for iCloud」がウェブブラウザーで利用可能に

 また、サービス関連ではいくつかのアナウンスが行なわれている。ひとつは「iWork for iCloud」で、これまでMacとiOSのみに提供されてきたiWorkがウェブブラウザー経由でも利用可能になった。iCloud上にファイルを保存し、閲覧や編集作業もHTML5で描写されたウェブブラウザー上のページで行なえるようになっている。ブラウザもSafari以外がサポートされるため、iCloudの利用を広げるモデルとしては適したアイデアだろう。同サービスは今年後半にベータ版がまず提供されることになるという。

ウェブブラウザーでiCloudにアクセスすると、iWorkの3つのアプリケーション「Pages」「Numbers」「Keynote」のアイコンが確認できる

ウェブブラウザー上でそのままファイルの閲覧や編集が可能。これにより、プラットフォームを選ばずにサービスが利用できる

「Find My iPhone」の機能強化

 ふたつ目は「Find My iPhone」の機能強化で、従来の紛失時のメッセージ表示や遠隔ロック、リモートワイプ機能に加え、「再アクティベート時にロックに使用したApple IDとパスワードの入力」を求めることが可能になった。

 Find My iPhoneは、デバイス紛失時に探索のための手がかりとしたり、あるいは機密情報が漏れないための対策といった意味合いがある。また最近、iPhoneをターゲットとした盗難や強盗事件が頻発しており、その理由が転売での換金目的にあることが知られている。

 従来の保護機能の場合、データの漏洩を防げても、iPhoneを初期化して再セットアップすることも可能なため、盗んだ時点で犯人の目的は達成できてしまう。ところが再セットアップにともなう再アクティベート時に端末ロックに使用したApple IDの入力を求めることで、本来の持ち主以外のiPhone初期化が行なえなくなるというのが今回の新機能の効用だ。今回の新機能が、少しでも端末盗難被害の減少につながればと思う。実際、筆者も本稿執筆の2週間ほど前にサンフランシスコのバス車内で強盗2人組に襲われてiPhoneを強奪されている。

「Find My iPhone」の新機能。再アクティベーション時に、端末ロックに利用したApple IDの入力を求められる。これにより、端末所有者以外はiPhoneの再利用ができない

 このほか、iOS 7にはさまざまな機能が搭載されているようだ。アプリごとにVPNを設定できる機能があったり、MFi経由でゲームコントローラーを接続できたりと、エンタープライズでもゲーム用途でもさまざまな拡張性が提案されている。開発者向けのSDKは同日より提供が開始され、一般配布は今秋を見込んでいるという。

 対応デバイスはiOS 6時代とほぼ同じで、iPad miniが加わる一方、これまで長らく対応デバイスとして含まれていたiPhone 3GSが初めて対象外となった。また対応機種とはいえ、機能によってはサポートしないデバイスも存在するということで、そのあたりの追加情報は追って確認したい。

iOS 7は今秋より一般提供開始。対応デバイス一覧は写真の通り。iPhone 3GSが初めてサポート対象外となった


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