米Appleは6月10日(現地時間)、米カリフォルニア州サンフランシスコにおいて開発者会議「WorldWide Developers Conference 2013」(WWDC 2013)をスタートした。開催初日には同社CEOのTim Cook氏らAppleエグゼティブによる基調講演が行なわれ、主にソフトウェアを中心にした同社新製品の紹介が行なわれた。WWDC 2013レポート後編では、新しいユーザーインターフェースを採用した「iOS 7」を中心にお伝えしていこう。
新しいUIは「奇をてらわず、だが使いやすく」
今年のWWDCのハイライトは、ある意味で昨今のAppleの主役となりつつあるiOSの話題だ。壇上でCEO ティム・クック(Tim Cook)氏はこれまでに6億台のiOSデバイスが世界で販売されたことを強調しているが、これはカンファレンス冒頭で示した7200万台のインストールベースというMacの数字よりはるかに大きい水準であることが分かるだろう。
もっとも、スマートフォンの世界の台数シェアでiPhoneは1〜2割程度であり、その大部分はGoogleのAndroidが占めている。iPhoneという単一製品しかないAppleに対し、ライバルはハイエンドからローエンドまでさまざまなメーカーが対応製品を出しており、その差が如実に出ているからだ。
だがCook氏は、特定ユーザー向けだという、こうした世間の評価に反論する。例えば単位スマートフォンあたりの利用時間はAndroidに比べてiPhoneのほうが5割ほど高く、モバイルウェブのトラフィックではシェア全体の6割でAndroid勢の約2.5倍、さらにiPadを対象としたタブレット市場では顕著だという。ユーザーの満足度も高く、開発者に対してビジネスを営む上で最適なプラットフォームだというのが同氏の主張だ。
もうひとつ開発者向けのメッセージとして、現在Androidで問題になりつつあるバージョン番号のフラグメンテーション問題を挙げている。事実上のシングルプラットフォームであるiPhoneに対し、Androidはさまざまなデバイスが存在し、OSソフトウェアもメーカー各社が独自に最適化を行なっている。そのため旧デバイスに対して最新OSが提供されない、あるいは提供されても非常に時間がかかるといった現象が見受けられる。
また、普及台数の多い低価格端末の多くはAndroid 2.xのバージョン番号を持っていることが見受けられ、これが結果としてGingerbread、Ice Cream Sandwich、Jelly Beanの3つのバージョンでシェアを3分する状況となっている。これは開発者が異なる3つのAPIレベルを想定してアプリを開発する必要があることを意味しており、負担増につながる。確かに、アクティブユーザーほど最新OSである率が高く、ターゲットデバイスとしてiPhoneを選択するメリットはこの点において明らかだろう。