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[解説] 米Google、技術的問題のあるスマホ向けサイトの順位を下げる方針を発表

2013年06月12日 14時57分更新

記事提供:SEMリサーチ

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本日未明に公開した記事「Google、スマホ向け検索ランキング変更を発表」について、別記事として補足解説を少し。

まず、Googleが具体的な例として挙げた、「スマホユーザーからの全てのアクセスをスマホ向けトップページに転送している」ですが、これは様々な理由により起きています。

「知らなかった」「考えたことがなかった」ケース

まず第1に、「単に知らないだけの人」。つまり何も考えていないだけのケースですね。検索ユーザーは、検索キーワードと言う形で何を探しているのかという「インテント」を明確にしているのですから、そのインテントに適合するページに誘導するよう配慮するのが検索エンジンマーケティング(SEM)の基本原則です。Googleとしては、検索意図にマッチしないページを検索上位に表示することはユーザーの不満足につながるから、そういったページを上位に表示したくないわけですね。単に知りませんでしたというサイト運営者の方は、これを機会にリダイレクトをきちんと設定してみてください。


該当するスマホ向けページがなかった

第2に、「PC向けページのコンテンツに対応するスマホ向けページが存在しないからトップページに誘導した」。これは意外と耳にするケースです。PC向けサイトとは完全独立したスマホ向けサイトを構築した場合、PC向けとは情報構造(IA)が異なり、PC向けに存在するいくつかのページやカテゴリがスマホ向けではそっくり削除されているという事例は少なくありません。PC向けに用意されている、あるカテゴリ内のコンテンツだけがスマホになっているケースは大手企業のスマホ対応サイトによく見かけますよね。こうしたケースで、「転送する先がないから、とりあえずトップページにリダイレクトしちゃえ」と安易な考えで設定してしまったサイト運営担当者の方はきっといらっしゃるはず。でも、こうした対応は検索ユーザーの不利益につながりますので、改善をする必要があります。

この場合ですが、もし、そのPC向けページのコンテンツが重要なのであれば、スマホ向けページを用意して下さい。重要なのに特定デバイス向けが存在しないという状態がそもそも合理的ではないからです。もし存在しないのであれば、最も関連性が近しい別のページを探してリダイレクトする。類似するページすら存在しないのであれば、そのまま(リダイレクトせず)PC向けページを表示してしまうという選択があります。

ところで、Googleの今回の目的は、「スマホ向けページの技術的な設定に問題があり、それによって検索体験が損なわれる場合」を想定しています。決して「スマホ対応が不適切なサイトやページ」を想定しているわけではありません。

たぶん勘違いしている人がいるのですが、スマホからのアクセス時にPCページをそのまま表示することは、一部のユーザーはそれが「見づらい」と感じるかも知れませんが、Googleは今回そうしたケースは問題にしていません。公式ブログで言及しているように、PC向けページとスマホページの見せ方において、技術的な問題を起因として検索体験が損なわれているようなケースです。従いまして、最後に提示した改善提案のように、PC向けページをそのまま表示することは、少なくとも検索意図に適合したコンテンツを表示するという目的は達成しており、(関連性が低いページに自動転送されるより)はるかに優れたユーザーエクスペリエンスを提供できます。


実機で検索経由でアクセスした時の動作確認をしなかった

最後に、動画が再生されない、エラーが表示されるなどのケースですが、これは単に動作確認や検証が不十分であるケースが多いのではないでしょうか。地図が掲載されているのにスマホでは地図を動かせない、検索結果からPC以外のデバイスで商品一覧ページにアクセスするとリダイレクトループにはまるかエラーが出力される某大手通販サイトなど、例を挙げればきりがありませんが、こうしたものは実機で自分でアクセスを試みれば簡単に判明することです。たんに「検索経由でアクセスした時の動作確認」という工程を入れていなかった、想定すらしていなかったのではないでしょうか。スマホにおいても検索は最もよく利用される機能の1つであり、検索からのトラフィックは重要です。自分のサイトに任意のデバイスでアクセスした時に、どのような挙動になるのかを事前に確認しましょう。

話は変わりまして、今回の順位引き下げは、世間一般によく言われる「ペナルティ」(何らかの違反をしたための制裁的意味合い)を持つものではなく、下方調整という扱いです。繰り返しになりますが、Google としてはユーザーのストレスがたまるような検索結果を上位に提示することは本意ではありませんので、"本来表示されるべき順位よりも下げる措置をしますよ"ということです。画面上はどちらも順位が下がった状態かも知れませんが、ペナルティ(手動対策やアルゴリズムによる自動調整)か下方調整では問題発生時の対応ががらりと変わりますので、頭の片隅に入れておいてください。

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