「Maps」「iBooks」
また、iOS側の機能が逆輸入されたり、iOSとOS Xで同じ機能が同時に導入されてデバイス連携が行なえるケースが増えつつある。前者については「Maps」「iBooks」がOS X上での利用が可能になった。
どちらも、日本ではコンテンツが不足気味で本格活用は難しいが、Mapsについてはルート検索やナビゲーション、FlyoverといったiOS特有の機能がOS X上でも利用できる。さらに、OS X上で検索したルートを逆にiOSデバイスにプッシュして出先での案内に利用できるなど、デバイス連携が可能になっている。
iCloudを利用したID/パスワードなどの管理システム
「iCloud Keychain」
デバイス連携として面白いのは「iCloud Keychain」という機能で、これはSafariで提供されているAutofill機能をiCloudを介してデバイス間で共有するもの。Autofillで補完されるのはIDやパスワード、住所、クレジットカード番号などで、入力の面倒なデータを候補を示しつつ一発入力できるようにする。
一度入力したデータはiCloud上で記憶され、初めて操作する他のデバイスであっても同じApple IDでログインしていれば自動補完される。これは文字入力の難しいiOSデバイスで特に有効で、OS Xとの組み合わせで大きな効力を発揮するだろう。
また、iOS側では難易度の高いパスワードを自動生成する機能も用意されており、これをAutofillを使って自動補完できる(ユーザーはパスワードを覚えている必要はない)。
「Timer Coalescing」と「Compressed Memory」による
電力消費の改善
パフォーマンスや地道な改良も今回のMavericksでのアピールポイントだ。Advanced Technologiesと題された話題では、「Timer Coalescing」と「Compressed Memory」というふたつの技術について紹介された。
基本的に、OS上で動作する各プロセスはばらばらのタイミングでアクティブとなり、それらは互いに非同期だ。そのため、CPUの稼働状態が頻繁にアクティブと何もない状態(アイドル)のふたつのモードを頻繁に行き来する。このモード遷移には余分な時間や電力が必要となるため、それが頻繁に発生するということはそれだけ無駄な電力を消費していることを意味する。
このタイミングをOSで集中的に管理してある程度束ねることで、消費電力を通常利用のケースで72%低減しようというのがTimer Coalescingのアイデアだ。
同様に、新しいプロセスが立ち上がったとき、メモリー確保のために既存の非アクティブなメモリーを整理する動作が入り、これがオーバーヘッドとなる現象がしばしば発生する。これを一瞬で自然な形で実行し、オーバーヘッドを感じさせないという仕組みがCompressed Memoryとなる。バックエンドで動作する技術の一部ではあるが、地味ながら改良は常に続けているというメッセージなのだろう。
「Safari」新バージョンでは、パフォーマンス向上と低電力消費をアピール
Safariでも引き続き改良アピールが行なわれており、MavericksでのSafariは競合製品と比べてもJavaScriptやレンダリングの実行速度が高速なことを説明。より低消費電力で動作し、さらにタブごとにプロセスが独立動作する仕組みを導入するなど、パフォーマンスだけでなく、消費電力面でもメリットがある点を強調した。
SafariについてはGoogleとのWebKit分裂騒動があり、今後の先行きが危ぶまれる自体が続いている(関連記事)が、AppleではなおSafariに対する継続投資とライバルとの比較アピールを止めるつもりはないようだ。
なお、Mavericksの開発者プレビューは同日より提供が開始され、一般ユーザーには今秋にMac App Store経由での配布が行なわれる見込みだ。