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音楽ビジネスは定額聴き放題時代へ突入

2013年06月11日 16時00分更新

文● 伊藤達哉(Tatsuya Ito)/アスキークラウド編集部

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 アップルは6月10日(米国時間)、「WWDC 2013」の基調講演にて音楽ストリーミングサービス「iTunes Radio」を今秋から米国で開始すると発表した。iPhoneやiPad、Apple TV、パソコンなどのデバイスに対応しており、同社のクラウドサービス「iCloud」を使えば端末間での履歴の共有も可能。アップルは米国の大手レコード会社3社とライセンス契約をまとめており、音楽の配信料は「無料」だ。

iTunes Radio

グーグルが有料の「Google Play Music All Access」を発表する一方で、無料サービスを始めるアップル

 一方でグーグルは、アップルに先駆けて「Google Play Music All Access」というサービスを開始している。こちらは月額9.99ドルで数百万曲の音楽が聴き放題だ。現在米国のみのサービスだが、アップルともども日本でのサービス開始は当然視野に入れているだろう。ちなみに国内では、NTTドコモの「dミュージック」が月額980円で約100万曲の音楽を聴き放題で提供している。

 日本レコード協会が発表した2012年の実績によると、国内でも有料音楽配信の実績が伸びている。パソコンやスマートフォン向けの合計売り上げは、シングルが前年比36%増の36億8700万円。アルバムは、前年比59%増の16億9600万円だった。シングルとアルバムともに2ケタ増は、3四半期連続だ。スマートフォンの普及が大きな要因だが、改正著作権法により暗号化技術が撤廃されて、音楽データをマルチデバイスで試聴できるようになったことも拡大につながっている。

 しかし、音楽の違法配信が年々増加のも事実だ。日本レコード協会の発表では、私的な違法ダウンロードは減っているものの2012年度は50万件を超えたという。今後、同協会は「著作権保護・促進センター」を立ち上げ、違法配信サイトの摘発に力を入れていく。

 デジタル音楽のサービスは、「購入」から「聴き放題」へと広がりつつある。デバイスの限られたストレージを消費せずに、必要なときにストリーミングでデータを受け取る常時接続ありきのサービスだ。聴き放題であれば違法ダウンロードのニーズが減ることもあり、今後はストリーミングサービスの優位性が強まるだろう。


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