このページの本文へ

前へ 1 2 3 4 5 6 7 次へ

「GR」に「RX1」に「DP2 Merrill」……今高画質コンデジがアツい! 第1回

フォーサーズよりデカいセンサーのコンデジ6機種をチェック!

2013年06月10日 12時00分更新

文● 周防克弥

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

3層構造のセンサー採用で
解像感の高い撮影ができるシグマ「DP2 Merrill」

本体サイズは幅121.5×奥行き59.2×高さ66.7mmと、先代に比べてひと回り以上大きなった。重量は約355g

本体サイズは幅121.5×奥行き59.2×高さ66.7mmと、先代に比べてひと回り以上大きなった。重量は約355g

 最後は、ちょっと特殊な撮像素子を採用するシグマの「DP2 Merrill」。同シリーズには28mm相当のレンズを採用している「DP1」と75mm相当のレンズを搭載する「DP3」があり、DP2は45mmに相当する30mm/F2.8のレンズを搭載している。最短撮影距離は約28cmでそこそこに近寄って撮影可能だ。

 DP2の最大の特徴は「Foveon X3 ダイレクトイメージセンサー」だ。他社の多くが採用している一般的なCMOSセンサーとは違い、3層構造になっており、それぞれの層でRGBの色を個別に取り込むことで1画素分のスペースでRGBすべての情報を得ることができる。

 他社が採用するCMOSセンサーの場合、1層構造で画素1つあたりはRGBのいずれかの情報しか得られない。このため「ベイヤー配列」と呼ばれる方式で4つの画素(2×2ドット)それぞれにR(赤)、G(緑)、G(感度が低いため緑は2つのある)、B(青)のカラーフィルターをかぶせ、隣り合わせたほかの色の情報と演算して色情報を補完。これにより画素単位での色を生成しているわけだが、まれに偽色が発生する可能性があり、その対策でローパスフィルターを用いている機種が多い。

 ローパスフィルターは撮像素子に光が入る前に一度画像をぼかしてしまい、生成された画像にシャープネスをかけて解像感を上げている。しかし、Foveonでは構造的に偽色の心配がなく、ローパスフィルターを使用していないため、素の状態で解像感が高いのが特徴だ。

 ただし、最近は画像処理の技術レベルが向上し、ベイヤー配列を採用したCMOSセンサーでもローパスフィルターを使用しない機種が増えており、Foveonの解像感の優位性は以前ほどはなくなっている。

本体の端に偏って配置されたレンズが特徴的なデザインになっている。グリップなどはないが、面積が広く意外に安定して持てる

本体の端に偏って配置されたレンズが特徴的なデザインになっている。グリップなどはないが、面積が広く意外に安定して持てる

背面モニターは3型(約92万画素)。ボタン類の表示情報が少なく、どのような機能なのかが見ただけでは判断しにくい。慣れが必要だ

背面モニターは3型(約92万画素)。ボタン類の表示情報が少なく、どのような機能なのかが見ただけでは判断しにくい。慣れが必要だ

電源を入れてもレンズが伸びない固定式になった。シャッターボタン周辺のダイヤル操作が設定値変更のメイン操作になる

電源を入れてもレンズが伸びない固定式になった。シャッターボタン周辺のダイヤル操作が設定値変更のメイン操作になる

バッテリーとメディアは下方に。三脚の取付穴がレンズ光軸上にあるのはちょっと嬉しい

バッテリーとメディアは下方に。三脚の取付穴がレンズ光軸上にあるのはちょっと嬉しい

 撮像素子はAPS-Cサイズで有効1536万画素。ベイヤー配列採用のセンサーと同じような数え方をすると×3で約4500万画素と表記してもいいのかもしれないが、実用性を考えるとやはり約1500万画素と言うほうが正しいだろう。

 従来モデルのDP2ではRAWとJPEGの同時記録ができず、またJPEGの生成能力もお世辞にも高くなく、基本的にはRAW撮影専用機的なイメージだったが、DP2 MerrillではRAWとJPEGの同時記録が可能になり、JPEGもかなり高画質に記録できるようになった。

背面の「QS」ボタンを押すと設定を素早く呼び出せる。設定ページが2つあり、十字ボタンで項目を選択、ダイヤルで設定を変更するようになっている。呼び出せる項目はカスタマイズできるので、自分の好みの設定項目を割り当てることが可能だ

 機能はシンプルで撮影モードもプログラムオート、絞り優先オート、シャッタースピード優先オート、マニュアル、と基本的なものだけ。エフェクト的な機能はなく、カラーモードで基本的な発色の方向性を変えられるだけだ。AFも測距点は9点あるが、自動認識機能はないので、自分でどこにピントを合わせるかは決めないといけない。

不自然さのない解像感は本機ならでは

RAWデータからデフォルトのままJPEGで出力したデータ(左)と、撮影時にRAW+JPEGで撮影したJPEGデータ(右)。カメラで出力したJPEGデータもかなりいい感じになった。階調幅はわずかにRAWからのほうがよく、現像時に調整を加えることでさらに画質を追い込める

絞り開放でも十分なシャープネスがある。ボケ方もなめらかで柔らかい

絞り開放でも十分なシャープネスがある。ボケ方もなめらかで柔らかい

 実売価格は7万6000円前後。AF速度は速くなく、機能面では他社製品に劣る点は多々あるが、撮ると改めてDP2 Merrillのよさを実感できる。

 不自然さのない解像感やエッジ強調してないのにシャープであることなど、本機でなければ得られない画像が確かにある。JPEGでの出力もかなり向上しているが、やはりRAW前提で現像ありきなのは従来通り。ちょっと敷居は高いがそれに答えてくれるだけの性能は持っている。

次回は気になる画質をチェック!

 今回の6台はどれもフォーサーズよりも大きな撮像素子を採用し、レンズが固定されているコンパクトタイプのデジカメだ。撮像素子が大きくなるとどうしてもAFスピードが遅くなってしまう傾向や本体サイズの肥大化、重量の増加など出てきてしまうが、GRなど最新の機種では動作速度や大きさを犠牲にせず、コンデジ感覚でそのまま使っていて気にならない機種も出てきている。

 どれも高価でちょっとマニア向けな傾向は強いが、いかにもカメラらしい雰囲気を持っている機種がほとんど。見た目で選んで買ってしまう人も多いだろうが、やはり折角の大型素子採用なのだから画質重視で選ぶのが正当ではないだろうか?

 ということで、次回は全機種の画質を比較してみることにする。

前へ 1 2 3 4 5 6 7 次へ

カテゴリートップへ

この連載の記事

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン