分散ファイルシステムを持った「Virtual Computing Platform」
統合型仮想化インフラを手がけるニュータニックスが日本法人
2013年06月06日 06時00分更新
6月5日、統合型仮想化インフラを手がける米ニュータニックス(Nutanix)が日本法人を設立した。すでに販売代理店を介して国内で展開されていた製品だが、日本法人の設立により、導入を加速する。
GFSのエキスパートが開発した
仮想化プラットフォーム
ニュータニックスは、Hadoopのベースとなる分散ファイルシステムであるGFS(Google File System)やOracle Exadataの設計・開発者など、ストレージや仮想化のエキスパートが2009年に設立したベンチャー。「コモディティハードウェア上に構築した、ソフトウェアに注力した基盤」をテーマに、2012年から統合型仮想化インフラを提供している。
発表会で登壇したニュータニックス セールス担当バイスプレジデントのマット・ヤング氏は、「データセンターが拡張されると、大きな負担がかかる。ストレージがいつもSAN経由でデータにアクセスしなければならない」と、SANのボトルネックを課題として挙げた。こうした課題に対する解として、コンピューターとストレージを1つに融合させた「Virtual Computing Platform(旧称:Nutanix Complete Cluster)」を提供。SANを一切排除しつつ、パフォーマンス劣化のないスケールアウトが実現できるという。
スケールアウトを前提にサーバーとストレージを統合
ニュータニックスのVirtual Computing Platformは2Uのアプライアンスとなっており、コンピューターとストレージを統合した複数のノードから構成されている。「もともとWebジャイアンツが使っていた製品を企業向けのアプライアンスとして提供できないか」という観点で開発されており、x86サーバーやSSDなどのコモディティハードウェア上に独自ソフトウェアを展開する。これにより、コンピューターとストレージを1つの階層に統合し、ボトルネックとなるSANの排除やノード単位の高い拡張性、低廉なコストなどを実現している。
同社のソフトウェアである「Nutanix Distributed File System(NDFS)」では、VMコントローラーによってリソース配分を自動化できる分散ファイルシステム。データの利用頻度によって利用するメディアを変えるストレージ階層化やノードにまたがったプール間でデータを均等にバランシングする機能も搭載している。
VCEの「vBlock」やシスコ/ネットアップの「FlexPod」など“旧来型”の統合型仮想化インフラと比べると、スペースや消費電力などの面でメリットがあるとのこと。「他社の統合型仮想化インフラ製品は既存のサーバー、ストレージ、ネットワークの組み合わせでしかない。ニュータニックスは、SANなしでアプライアンスをまたいだプールを作り、効率的に共有できるようにした」(ニュータニックス シニアSE 川端真氏)という。最小3ノードからスタートでき、理論上無限に拡大できるスケーラビリティも大きなメリットだ。
サーバーの仮想化はもちろん、VDI(仮想デスクトップ)サービスやビッグデータなどさまざまな用途で利用できる。国内での販売代理店は、日商エレクトロニクス、ネットワークバリューコンポーネンツ、マクニカネットワークスの3社。国内ではクラウドやデータセンターの事業者への導入を推進するほか、大手システムインテグレーターとの提携やVDI製品とのパッケージ販売を計画している。