やよいの店舗経営オンラインは目標を大きく未達
弥生、スマホ入力アプリを提供するクラウドキャストと提携
5月29日、弥生は発表会を行ない上半期の実績を振り返った。また、同社初となるクラウドキャストとの資本提携を発表し、スマートフォンやタブレットの利用を促進していくという。
弥生オンライン開始半年後の成果は?
発表会で登壇した弥生 代表取締役社長の岡本浩一郎氏は、まず上半期の業績について振り返った。弥生は、2012年9月にクラウドサービス「やよいの店舗経営オンライン」をスタートし、11月30日にはパッケージ版の「弥生13 シリーズ」を一斉発売。市場成長にともない、マーケットシェアも引き続き向上させており、特に青色申告と会計が好調だという。「青色申告の本数シェアは、5年前は2人に1人(50%弱)が使っているというキャッチフレーズだったが、今期は3人に2人(67.5%)にまで話せるようになった」(岡本氏)。こうした順調な売り上げを実現した結果、通期ではおおむね計画通りの着地になるとのことだ。
こうした同社の業績に貢献するのが、「スモールビジネス応援プロジェクト」だ。具体的には節税効果の大きい青色申告を応援する「青色申告応援プロジェクト」、起業に必要な会計の基礎(そろばん)を応援する「起業応援プロジェクト」、そして被災地の事業継続や再開、企業を支援する「復興支援活動」などを展開している。日本経済にとっての基盤であり、同社のメイン顧客であるこうしたスモールビジネス(中小企業、個人事業主、起業家)を支援することで、結果的に弥生の製品やサービス販売に貢献しているという。「一朝一夕で結果が出るモノではないが、お客様に認知されることで、結果的にファンを生んでいると考えている」(岡本氏)。
パッケージ製品に対して、クラウドサービスのやよい店舗経営オンラインは残念ながら好調とは言い難い。半年経ったものの「1年で3000ユーザーを目指す」とした目標に遠くおよばず、現状100ユーザー未満にどとまるとのこと。こうした現状となった最大の背景は、やはり認知度の低さ。サービスの仲介役となる会計事務所への浸透もまだまだ。さらに機能面での不足もあり、こうした課題を1つ1つ解決していくという。
また、弥生オンラインの第二弾も開発進行中で、2013年末までにサービスを開始するという。クラウドプラットフォームとしてWindows Azureを採用し、第1弾との相違点として、会計事務所と接点のないお客に訴求した新市場向けのサービスになるほか、クライアントにHTML5を採用。ターゲットプラットフォームもWindowsだけではく、Macやタブレットなどへの対応も検討するという。
スマホ用入力アプリのクラウドキャストと資本提携
今回発表されたのは、クラウドキャストとの資本提携だ。クラウドキャストは2011年末に実施した弥生スマートフォンアプリコンテストにおいて、グランプリを獲得した企業になる。
クラウドキャストの代表取締役の星川高志氏は日本マイクロソフトの法人技術チームで経歴を持ち、2009年にiPhoneアプリ開発をスタート。2011年にクラウドキャストとして法人化し、スマートフォンから手軽な入力を行なえる「bizNote」という製品をモバイルOS向けに提供している。弥生シリーズに対応するのは、グランプリ受賞作である「bizNote for 弥生会計」とOCRと人力により精度の高いレシート入力を行なえる「bizNote Rec」の2つになる。
弥生とクラウドキャストは今回の資本/業務提携により、製品開発やマーケティング/販売面の両面で協業を深めていく予定。弥生は、今後もこうしたベンチャーへの出資は継続し、弥生だけではなく、提携先も発展していくモデルを構築していくという。