HTML5+JavaScript+CSS3主体でウェブ系開発者も挑戦しやすいのだ
賞金総額4億円―Tizenアプリコンテストを日本から盛り上げろ!
2013年06月04日 20時00分更新
Tizenアプリの核となる「HTML5」
また、Tizenの原動力となっているのが「HTML5」だ。HTML5はウェブの標準技術として開発されており、HTML5アプリを作成するとローカルのアプリケーションのように動作させることも可能で、HTML5対応のブラウザーエンジンさえあれば、どんな端末、どんなOS上でも動作する。HTML5でウェブアプリを作成する大きなメリットは、ローカルストレージやキャッシュといった新機能を利用して、オフラインのローカル環境で動作するアプリを作れることにある。
さらに、ブラウザー上で動くウェブアプリケーションとして動作させるのであれば、サーバー側のコードを変更すると、端末側でダウンロードしなくてもアップデートされるため、アプリのバージョンを気にする必要がなくなる。常に最新の機能を提供できるという点も優位点だ。
現状では、OSごとに異なるネイティブアプリの方が主流で、動作スピードとしても機能としてもHTML5を上回ってるが、Tizenでは、HTML5が高速に動作するよう設計されており、HTML5アプリも快適に利用できる環境の実現を目指している。
また、HTML5アプリでは端末の全機能にアクセスできるわけではなく、グラフィックスを多用するゲームアプリなどではパフォーマンスが足りない場合があるため、Tizenはネイティブアプリにも対応しており、HTML5とのハイブリッド構成も可能。さまざまな要求に柔軟に対応できることも特徴だ。
今年中に端末やアプリストア「Tizen Store」が登場、
さらなる拡大へ突き進むTizen
Tizenは、2012年6月にバージョン1.0が登場し、2013年5月に最新版Tizen 2.1がリリース。同時にSDKも公開されており、端末メーカーやアプリ開発者の開発環境が整った。さらにTizen 3.0に向けて継続的に開発が行なわれる計画だ。
端末としては、2013年中にもSamsungが第1弾の端末をリリース。ドコモとOrangeが今年下期にTizen端末の導入を検討しており、それによって実際の端末が市場に登場してくることになる。日本はもちろん、フランス、中国、ロシアを含めてグローバルで展開される点もポイントだ。2013年後半には、Tizen全体のアプリストアとなる「Tizen Store」がオープンし、ドコモやOrangeもアプリストアを開設する計画で、着々と準備が進められている。
これによって、アプリ開発者にとってアプリをグローバルで配信する環境が整う。Tizen向けにHTML5アプリを開発しておけば、同様にHTML5をサポートするプラットフォームにアプリを提供できる。個別OSに最適化されたネイティブアプリでは実現が難しい、HTML5という「世界最大のプラットフォーム」へと配信できるようになるわけだ。
現在、世界のスマートフォン市場はAndroidとiOSが主流となっており、Tizenは「第3極」としての地位を目指している。しかし第3極とはいっても、HTML5アプリはマルチOSに展開でき、Tizen以外も同時にターゲットにできるため、アプリ開発者としてのメリットは大きい。しかも、JavaScriptやHTML5、CSS3といったウェブ系開発者の方にもなじみやすい技術を利用した開発が可能なため、参入しやすいのだ。
HTML5アプリの実行に最適化するなどしたことで、高速な動作環境を実現。HTML5が普及すれば、Tizenの価値が高まり、プラットフォームとしても存在感を示せる。実際、Tizenは端末のターゲットをハイエンドからローエンドまで幅広く想定しており、さまざまなバリエーションの端末が登場してくることが期待できる。
今後、さらなる発展が期待されるTizenの世界。このTizenの情報をさらに詳しく、さらに深く知るためのイベントが開催される。