今回のチップセット黒歴史は、nVIDIAの「nForce 4」シリーズである。もっと正確に言えば、nForce 4に内蔵されていた「Active ARMOR」が今回の主題だ。前回のIXP200よりももっとピンポイントなのはご容赦いただきたい。
当時はnが小文字だったnVIDIAが
鳴り物入りで投入した「nForce 4」シリーズ
nForce 4シリーズ全体の概要は連載47回で説明しているため、あまり付け加えることはないのだが、簡単におさらいをしておこう。
「nForce 2」でAMD向けの主要なチップセットベンダーの1つになったnVIDIAは、それに続く「nForce 3」シリーズでAthlon 64をいち早くサポートし、AMD向けのトップチップセットサプライヤーのポジションを確保する。
このポジションを堅持するとともに、「GeForce 6000」シリーズで導入されたSLIをサポートするためのチップセットとして鳴り物入りで投入されたのが、2004年9月に発表された「Crush K8-04」こと「nForce 4」シリーズである。
nVIDIAとしては初のPCI Expressに対応したチップセットであり、このPCI Expressレーン経由でSLIを構成できるということで、ハイエンド版の「nForce 4 SLI」は非常に良く売れたと記憶している。このnForce 4にPCI Expressブリッジを組み合わせる形で、PCIe x16レーンをデュアルで利用できるようにしたのが「nForce 4 SLI x16」という2005年8月に出た製品であるが、サウスブリッジにあたるものは「Crush K8-04」そのままだった。
これは2005年4月に投入されたインテル向けの「nForce 4 SLI Intel Edition」や、「nForce SLI x16 Intel Edition」も同じで、メモリーコントローラーとFSB I/F、それとPCIレーン側には新しく「Crush 19」というノースブリッジ相当のチップを投入したが、サウスブリッジは引き続きCrush K8-04であった。このCrush K8-04の使いまわしは随分行なわれており、2006年に入ってシングルチップ化された「GeForce 6100」シリーズや「nForce 570」などで、やっとCrush K8-04の使いまわしは終わることになった。
SATA 3GとNCQにいち早く対応した
「nForce 4 SLI」
さてそのCrush K8-04、つまり初代nForce 4。SLIを利用可能というだけでは不十分と考えたのかどうか、随分機能を盛り込んだ。nForce 4 SLIのページはちゃんと今もある(関連リンク)のだが、ここでnForce 4 SLIの機能として挙げられているのは以下の7つである。
- NVIDIA SLI technology Support
- DualDDR2 Support
- PCI Express Support
- NVIDIA MediaShield
- TCP/IP Acceleration
- NVIDIA Gigabit Ethernet
- NVIDIA nTune
このうち2番目の“Dual DDR2 Support”はインテル向けのみで、AMD向けは関係ない(Athlon 64は、CPU側にメモリーコントローラーが搭載されているため)。SLI technologyとPCI Expressは説明の必要はないだろう。
次がNVIDIA MediaShield。これはSATAを使ったRAIDコントローラーである。MediaShieldのホワイトペーパーはNVIDIAのウェブサイトから入手できるが、当時としては画期的だったSATA 3Gに加えてNCQ(Native Command Queuing)機能をいち早く実装しており、またSATAドライブとPATAドライブを併せて最大6台のHDDでRAID 0/1/5/0+1を構築可能だった。ちなみにこの機能、当初は単にNVIDIA RAIDと称していた。いつからMediaShieldになったのかは不明だ。
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