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分散ストレージやビッグデータでの進捗を重点的に披露

破壊的なコモディティ化をもたらすインテルのクラウド戦略

2013年05月23日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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分散ストレージが大きな焦点へ

 今回、大きなテーマとして挙げたのは分散ストレージの分野だ。田口氏は、既存のストレージ市場は増える一方、「昨今、増大しているビッグデータに対しては、安価で大量な分散ストレージが重要になる」と指摘。インテルが取り組む「Erasure Coding」のような技術で信頼性や拡張性に優れたリソースプールを安価に実現できると説明した。また、会場では3TBのHDDを12台搭載できる1Uのストレージサーバーを披露し、量産サーバーを用いたストレージプールの現実味をアピールした。

会場で披露されたストレージサーバー

 こうした一連のインテルの取り組みに賛同し、分散ストレージシステムの構築を進めているのが、さくらインターネットである。発表会では、さくらインターネット代表取締役社長の田中邦裕氏がインテルとのコラボレーションについて語った(詳細は「さくら田中社長が描くエクサバイトデータセンターへの道」参照)。

 そのほか、田口氏は、拡張性の高いオブジェクトストレージサービスや1ラック1PBの高密度化を実現するストレージサーバー開発を進める富士通や、多くの分散ストレージサービス基盤として採用されているソフトウェア製品を提供するクラウディアン、OpenStackのオブジェクトストレージ技術「Swift」によりサービスを展開しているNII(大学共同利用機関法人情報・システム研究機構 国立情報学研究所)など分散オブジェクト関連の事例を紹介し、インテルのコンセプトが着実に浸透していことをアピールした。

独自ディストリビューションも!
ビッグデータへの取り組み

 そして、分散ストレージとともに田口氏が大きなテーマとして持ち出したのが、ビッグデータだ。従来、Webジャイアンツが主役だったビッグデータだが、田口氏は「今後、エンタープライズでのビジネス価値の創出に必須となってくる。ビッグデータが成長の勝敗を分ける時代になってくると言っても過言ではない」と断言。より速く、より多く、さまざまな種類のデータをさばくためには、インテルが提唱するクラウド型アーキテクチャーが必要となり、Hadoopがその鍵となると説明した。

 インテルはHadoopのOSSコミュニティへ積極的な貢献を行なっているほか、米国ではインテルXeonに最適化された命令セットを追加したHadoopディストリビューションを提供しており、日本でも展開予定だという。また、頻繁に発生する圧縮・伸張の処理をハードウェアで用なったり、クラスタのパフォーマンスを最適化するIntel Active Tunerを提供。ハイパフォーマンスで、セキュアで、使い勝手のよいHadoopシステム構築に貢献すると説明した。

会場で披露されたインテル版Hadoopディストリビューションのデモ

 半年ごとに確実に成果を挙げていくインテルのオープン・クラウド・ビジョン。今回はビッグデータの大容量・高速処理を前提とする新しいインフラにも言及され、より適用範囲を拡げたといえる。コモディティとオープンをキーワードにインテルが仕掛けるさまざまな取り組みは、今後も業界に大きなインパクトをもたらしていくに違いない。

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