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グラフィックベンチ「3DMark」徹底解剖 第2回

3DMarkの「Fire Strike」ではなにをテストしている?

2013年05月13日 12時00分更新

文● 加藤 勝明

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ポリゴンの出力や、光と影の効果を
重点的に見る「Graphics Test1」

 「Fire Strike」では、Graphicsテストを2本、Physicsテスト1本、Combinedテスト1本という流れでテストが実行される。その中で真っ先に実行される「Graphics test 1」は、溶岩回廊の中をフライバイするシーンが描かれる。下に流れる溶岩流の熱で遠方がゆらめき、さらに回廊内を飛行している物体からは幾条もの光線が発せられている。

テッセレーションでさらにリアル感を出した岩肌の表現や、サーチライトで照らされる部分と影の部分の表現などに注目だ

 なんてことないような内容だが、平均390万個の頂点情報にテッセレーション効果が付与され、1フレームあたり510万個のトライアングルがラスタライズされる……専門用語を使わずに言えば、複雑な物体の形状を描く際の性能を見るテストだ。ポストプロセスとしてアンチエイリアスなどが追加されているが、次のテストに比べるとポストプロセス処理の占める負荷は少ない。

 さらにこのテストでは光と影の処理も重めに作られている。飛行物体の照明で岩肌の影が変化するし、さらに煮えたぎる溶岩の照らす赤い光の効果や、回廊中の建物を照らす照明など、あわせて240個の照明効果がリアルタイムで計算されているのだ。

飛行物体の発するサーチライトの効果「ボリュームライト」はリアル感重視のゲームでは当たり前のように使われる。図は「クライシス3」における木漏れ日の表現

 総合スコアのベースになるのは各テストの平均fpsだ。では各GPUにおける結果を比較してみよう。

Graphics test 1における各GPUのfps。ハイエンドGPUでも平均30fps突破がやっとだ

 ハイエンドGPUでようやく30fps台。ミドルレンジでは20fps台……ということは現実のゲームで言うと「クライシス3」並か、それ以上の描画負荷である、ということだ。HD4000では3fps以下という厳しい評価になる理由もわかるというものだ。

GPUパワーを使ったシミュレーションや
特殊効果でさらに重い「Graphics Test2」

 2番目の「Graphics test 2」は、いかにもSFっぽい街並みを歩く謎の人物と、それを追跡するカニっぽいドローンが描かれる。ここでは複雑な形状の出力性能は控えめ(頂点は260万個)だが、そのかわりにGPUのシェーダーを被写界深度の表現、レンズフレアやブルーム(眩しさ)といった表現がふんだんに盛り込まれている。これらの効果はポストプロセス処理で追加されているため、処理の量はGraphics test 1の約2倍に増加している。

手前や奥側がボケる被写界深度の表現、看板の照明の眩しさ(ブルーム)、そしてレンズフレアなどの表現はGPUのシェーダーをフル活用して処理されている

床から上がってくる火の粉の挙動をよく見ると、人物が足を踏み出す際の空気圧などが動きに影響していることがわかる。この挙動がGPUを使って計算されているのだ

 さらにこのテストでは、GPUを使って火の粉や煙の動きのシミュレーションも実行されている。少し前だと「Mirror's Edge」、最近だと「Tomb Raider」のようにGPUでリアルな物理的挙動を実装したゲームがあるが、このテストではそうした方面の性能もチェックしているのだ。

GPUを使ったシミュレーションといえば「Tomb Raider」を避けては通れない。「TressFX Hair」を使った髪の毛の表現は実に見事。なぜこの技術をバストの揺れに使わないのか理解に苦しむが……

 このテストで試されるシミュレーションやポストプロセス処理の負荷は非常に大きく、負荷はGraphics test 1よりもさらに重い。そのため上位GPUであっても30fpsを切ることも珍しくない。

主要GPUにおけるGame test 2のフレームレート。前のテストよりも微妙に数値が低い点に注目

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