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風雑音を分類して抑制する新たな方式

NECの新技術で「電話越しの声」は変わるのか!?

2013年05月07日 17時12分更新

文● 貝塚 怜/ASCII.jp編集部

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 電話から聞こえてくる声というのは非常に不自然なものだ。「電話越しの声」という言葉が慣用句的に使われたり、DAPやメディアプレーヤーのイコライザー機能で「telephone」という項目が搭載されていたりすることにもそれは証明されている。

 特に携帯電話から聞こえてくる声というものは、環境音や風雑音を取り除く処理が強くかけられるため、本物と比べると随分と趣の違ったものになる。

 ところがこのたび、「電話越しの声」という言葉の認識が変わるかもしれない技術をNECが発表した。

 この新しい技術は、屋外での携帯電話やビデオ撮影などの際に、自然な音声をそこなわずに風雑音を抑制するものだという。

 従来、通話や音声などに入る風雑音の除去には、「風雑音が集中する周波数帯域のレベルを抑制する」という対策が講じられてきた。しかし、この方式では除去した帯域の音声も同時に抑制されてしまうため、自然な音声がそこなわれてしまったり、十分に風雑音が除去し切れないといった問題があったという。

 今回同社が開発した技術は、風雑音を風から一定して発生している雑音(定常雑音)と風の強弱で変動する雑音(非定常雑音)に分類し、それぞれを適切に抑制するものだ。

 具体的には、定常雑音はマイクへの音声入力信号がないときの平均値から推定して割り出し、非定常雑音は入力信号と定常雑音との差によって割り出すとのこと。

 風雑音として誤認されやすい「急に音声が大きくなる部分」は、入力信号を構成する波形を分析することで分別するという方法が採用された。

 同社がこの技術をAndroid端末に搭載して効果を確認してみたところ、演算能力の高くない端末においても、遅延のない処理と自然な音声が実現できたとしている。

 これは、通常異なるものとして認識される環境音と風雑音を、共通化して処理し、演算量を削減することで実現できたのだという。

 ちなみにこの技術は、5月8日より東京ビックサイトで開催される「第16回組込みシステム開発技術展」に出展される。将来的な普及が期待される本技術。いち早く確認してみたいところだ。

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