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グラフィックベンチ「3DMark」徹底解剖 第1回

新しくなったベンチマークソフト「3DMark」の用途と使い方

2013年05月08日 12時00分更新

文● 加藤 勝明

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内蔵GPUの評価に適した
「Cloud Gate」

 次に紹介するのが2番目に重い「Cloud Gate」だ。1280×720ドットで3Dを描画している点は「Ice Storm」と共通。ただし描画命令はDirectX10相当で、ブルーム(眩しさ)や被写界深度といったGPUのシェーダーのパワーを使うような処理が多用されているため、それなりに重くなっている。

描画エンジン自体は次の「Fire Strike」と一緒だが、こちらのテストでは描き込みを減らしている。背後に舞い踊るフレアの動きが印象的

2番目のGraphicsテストはシェーダーを酷使する処理がメイン。被写界深度やブルームの処理に加え、ライトから出る光束の表現が追加されている

 ただしDirectX11世代以降のGPU、特にミドルレンジ以上のGPUの評価用としてはまだ負荷が足りない。非力なCPU内蔵GPUを利用する環境、つまりノートPCや安価なエントリークラスのデスクトップPCの評価に使いたい。

下の樹木の枝が高速でフライバイする宇宙船の風圧(?)を受けてしなる様子がCPUを使って描かれる。コア1つにつきスレッドが1つずつ割り当てられて処理される

ビデオカードの評価に最適な
「Fire Strike」

 DirectX11世代のビデオカードを当際した、ゲームを視野にいれたPCの性能比較に最適なのが「Fire Strike」だ。このテストではようやく3Dが1920×1080ドットで描かれており、フルHDゲーミングを念頭に置いた設計になっている。

「Fire Strike」のデモは一度は見ておこう。透明なスーツをまとった女性に近づくほど、溶岩男の体表が凍る部分が増えるなど、結構芸が細かい

 また、このテストのみGrahicsテスト2本とPhysicsテストの後にGPUとCPUを両方使うCombinedテストも実行される。そのためOC検証のためのストレステストとしても有効だ。

「Fire Strike」は最新GPUで実行できるあらゆる描画技術を駆使して画面が構成されている。テッセレーションやGPUを使ったシミュレーションなど、内容は大盛りだ

 さらにAdvancedエディション以上では、画質ほぼ最高&2560×1440ドット相当で描かれる「Fire Strike Extreme」も利用できるが、こちらは現行システムではハイエンドGPUまたはマルチGPU環境用の超高負荷テストになっている。「Fire Strike」で何をチェックしているのかの解説は次回に譲ることにしよう。

「Fire Strike」でしか実行されないCombinedテスト。GPUとCPUをフルに回すため、CPUクーラーやケースファンの効率チェックにも活用できる

結果を吟味する

 3DMarkの各テストの結果はスコアという形で提示される。Basicエディションでは結果は公式サイトにアップされ、ブラウザで確認するしかないが、Advanced以上ではローカルでも参照可能だ。

Basicエディションではブラウザを使って結果を見る。GPU以外のスペックが近い環境ではどの位高い(低い)スコアが出たのかわかるので、これはこれで面白い

Advancedエディションではソフト上でも結果を吟味できる。平均fpsがテストごとに表示されているため、ドライバ更新後にfpsがどれだけ上がったか実際の数値を検討する時にチェックしよう。さらに詳しく見たい時は右下の「Details」をクリックすべし

 ここで注目したいのは、Advanced以上ではCPUやGPUの温度変化もグラフ化されるということ。冷却システムのチェックだけなら、とりあえず「Fire Strike」をガンガン回しておけば高負荷時の温度が視覚化されるという訳だ。ただCPUやGPUの占有率は表示されないため、本格的にやるなら「HWiNFO64」のような専用のモニタリングツールを導入すべきだろう。

テストに使ったシステムの詳しい情報がチェックできるほか、グラフに表示される項目の取捨選択もできる。CPUのクロック変動は表示できるが、GPUのそれは表示できないのが惜しい

グラフ中でクリックすれば、温度やfpsなどの具体的な数値を0.1秒単位で拾い上げることも可能だ。CPUやGPUがどのタイミングで熱くなるか、といった情報をここでチェックしよう

 これで3DMark徹底解説の第1回は終了となる。次回はビデオカードの比較に適した「Fire Strike」でなにが行なわれているのか、代表的なビデオカードではどの程度の値が出るのかなどを取り上げることにしよう。

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