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UPを使うと何が分かるのか

Jawbone UPがもたらす「ライフログ炎上」とは

2013年05月04日 12時00分更新

文● 四本淑三

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ライフログ炎上はこうして起きる!

 初日の睡眠データのキャプチャーをFacebookに上げたところ、次のような意外な、まるで期待していないコメントが付きました。

 「途中で2時間も起きていてベッドの上で何をしていたのだ?」

これが利用開始初日の睡眠データ。途中2時間近く覚醒している時間がある

 コメントしたのが友人だからいいようなものの、まったく大きなお世話です。しかし、見る人によっては、様々な想像が可能なグラフなのでしょう。実際には飲み過ぎで気持ち悪くなって目が覚め、ドレーンやリバース(直接的な表現を避けるため比喩的表現のカタカナにしてあります)のため、トイレに立ったり横になったりを繰り返していたわけですが、私の置かれた状況がもっとシビアであった場合を考えますと、これはもう恐ろしい限りです。

 例えばあなたが妻帯者で、かつ浮気が疑われているような場合、GPSで居場所がホテルであることを突き止められ、あのような中途半端な睡眠データをつけ合わされたとしたら、どんな風に言われるか分かったものではありません(私はこのような修羅場を逃れるためにすでに離婚済なので安心です)。

 「ライフログ」と言いながら、UPにかぎらずどの製品にも、セックスと排泄については記録する項目がありません。今は「そんなの当たり前じゃないか」という人もいるでしょうが、あらぬ疑いをかけられないためにも、ここはきっちり記録してくれと、そういうリクエストだってあり得るでしょう。自動車にドライブレコーダーを付けるのと同じ理屈で。

 例えば「おきた」「ねむい」「ねる」という、どうでもいいメッセージが現在Twitterにはあふれていますが、あれはライフログをそのまま流してしまえば、人間がわざわざ言う必要のない情報です。それだって当初は「どこの誰だか知らないヤツが、寝ようが起きようが知らねーよ」と嫌がられていたわけですが、今ではそれに「おやありー☆」「おはありですぅ」と返したがる勢力が存在するどころか、すでに多数派です。

 そうなると、この先にあるのは、ライフログの能動的ダタ漏れかもしれません。そうしたライフログのパンデミックはいつ訪れるのでしょうか。そして、そんな中「UPで自分のライフスタイルを把握してさらなる飛躍を実現」させたい勢力はどうなってゆくのか。もうしばらく使ってみて、その辺がはっきりしたら、またレポートしたいと思います。



著者紹介――四本淑三

 1963年生まれ。高校時代にロッキング・オンで音楽ライターとしてデビューするも、音楽業界に疑問を感じてすぐ引退。現在はインターネット時代ならではの音楽シーンのあり方に興味を持ち、ガジェット音楽やボーカロイドシーンをフォローするフリーライター。


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