2013年1月に全世界のユーザーが1億人を突破したLINE。4月には、これまで開発運営を担当していたNHN Japanから商号変更し、LINE株式会社が生まれた。新体制のもとでライバルが先行する海外展開、そしてコミュニケーションツールからプラットフォームへの脱皮を図るLINE。その現状や戦略を、LINEの戦略責任者である執行役員の舛田淳氏に聞いた。
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LINEとNHN Japan――分社化が海外展開に与える影響とは?
―― 旧NHN Japanは4月1日に、LINE事業のLINE株式会社とゲーム事業のNHN Japan株式会社に分社化されました。LINE事業は日本のLINE株式会社が主導すると繰り返し説明されてきましたが、今後は何か変化があるのでしょうか?
舛田 「今までもこの法人でLINEは開発され、運営してきましたので、それほど大きくは変わりませんが、LINEという名前の会社になったことで、名実共にここから物事を決めていこうという形になりました。海外については、アメリカ・インドネシア・マレーシア・香港・台湾・タイ・スペイン・ベトナム――こういったところに人を送り込んで、事業を進めている段階です。
前述の国々は現時点でユーザー数などの指標が良い、あるいはトップシェアになっている、もしくはそれを狙える国です。
例えば現地でテレビCMを流すことになった場合、クリエイティブルールは私たちが決めて、現地の担当者がそれに基づいて現地代理店と制作を進め、日本のヘッドクオーターに対して確認をとっていく形を取ります。
一方で、現地の市場環境やパートナー候補の状況は、現地でしっかり把握してもらい、開拓を素早く進めてもらいます」
―― これまで韓国のNHN Corprationの資本の下にあったNHN Japanですが、今のお話しからすると、資本下にありながらも、LINE事業についての主導権は日本のLINE株式会社が持つ、という理解でよいでしょうか?
舛田 「資本については100%NHN Corprationの資本です。そして分社前もそうだったのですが、LINE事業のヘッドクオーターは日本のLINE株式会社です。この点はLINE以前――NAVERなどのサービスを手がけていたころから一貫していることでもあります。
今回、初めてLINEという“グローバルプロダクト”が出てきたと。我々のグループでは、「どこでそのプロダクトが生まれたのか」を重視しています。日本で生まれ、日本の文化や言語で成長してきたLINEを、海外でも受け入れてもらうべく私たちが引き続き手がけていきます。
したがって新社名のLINE株式会社/LINE Corporationには“Japan”の文字が付いてないのです」
―― 無料メッセージや音声通話のような、ある種ローカライズで済む領域と異なり、現地パートナーとの連携が重要となるプラットフォーム事業において、海外拠点が果たす役割とは?
舛田 「一言で言ってしまうと、まだ試行錯誤しています(笑)。LINEというプラットフォームにさまざまなコンテンツやサービスを試しに乗せていってみている状況です。スタンプは上手くいっている代表例に挙げられますね。
プラットフォーム展開の状況は国ごとに異なります。LINEマンガのように現状は日本のみというものもあります。現地点では、LINEチャンネルに日本で上手くいきそうなものを乗せて、成功すれば、海外でのプラットフォームビジネスが見込める国々へ水平展開する、という流れです。
逆に日本以外の“この国にしかない”ようなものを手がけるのは現地の人間の役割です。
まだ私たち(ヘッドクオーター)も現地のニーズを拾いきれていなかったり、パートナーとの関係構築が十分ではない部分も正直あります。そういったところを現地の担当者が担っていくことになります。それが上手くいけば、日本を含めた他の国に水平展開することもあるでしょうね。そのために必要なのが海外拠点です」
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