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モバイルアプリケーションサーバーやデータ収集・分析設計ツールなどを投入

ARを現場に!富士通、スマートデバイス活用を支える製品強化

2013年04月24日 15時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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4月24日、富士通はスマートデバイスによるワークスタイル変革を支える情報活用ソフトウェアを拡充。モバイルアプリケーションサーバーやデータモデリング、AR用のサーバーなど3つの新製品のほか、5つの既存製品を強化した。

次世代の情報システムは現場と一体化すべき

 発表会の冒頭、登壇した富士通 総合商品戦略本部長である阪井洋之氏は企業でのスマートデバイスの導入状況について、「大企業を中心に驚くほど進んでいる。昨年比で商談数で4倍、受注件数で3倍に拡大している」と説明し、実際の事例を紹介した。

富士通 総合商品戦略本部長 阪井洋之氏

 たとえば医薬品の卸であるメディセオでは、薬局にタブレットを配布することで発注作業を簡易化し、受注を10ポイント拡大。また、昭和シェル石油ではカードの入会申し込みや商品販売でタブレットを導入し、手続き時間を大幅短縮したほか、個人スキルに依存しない商品販売が可能になったという。その他、農業現場や医療現場などでも活用され、具体的なメリットにつながっているとのことだ。

昭和シェル石油でのタブレット導入事例

 阪井氏は、こうしたスマートデバイス商談の特徴として、①単なるコミュニケーションツールだけではなく、ビジネスプロセスの変革に使われる、②専用端末の置き換えが進展、③BYOD対応のセキュリティ商談が増加、④ICT未活用の領域への適用が拡大などが挙げられるという。

 続いて製品の詳細を解説したミドルウェア事業本部長の新田将人氏は、現在顧客からもっとも求められていることが「業務のスピードアップ」であるとアピール。これを実現するための要件として、スマートデバイスをリアルタイムに活用できること、さまざまな現場状況に対応できることの2つを挙げた。

富士通 ミドルウェア事業本部長 新田将人氏

 さらに、「今まではオフィスに戻って情報を入力・活用していた。現在では、現場で入れた情報をその場で入力し、その場で活用することが求められる」と説明。これを実現するため、企業の競争力を高めるためには「現場と一体化した情報システム」が必要になると指摘した。

現場と一体化した情報システムの実現

AR(仮想現実)技術を企業向けの用途にも

 今回発表された製品群はスマートデバイスの利活用を促進し、現場と一体化した情報システムを実現するための情報活用ソフトウェア製品となる。新製品の詳細は以下のとおり。

FUJITSU Software Interstage Mobile Application Server
スマートデバイス向けのアプリケーションサーバーの新製品。デバイスの違いを意識することなくJavaScriptやHTML5、CSSなどの汎用技術を用いた開発が行なえる。データの暗号化、GPS/カメラ操作など60種類のスマートデバイスAPI、認証や非同期通信、PUSH通知など30種類のサーバーAPIが用意されている。ロケーションにより、アプリケーションとデータを消去し、情報漏えいを防止することが可能になる。出荷は2013年8月で、プロセッサーライセンスでの標準価格は125万円よりとなっている。

Interstage Mobile Application Serverの概要

FUJITSU Software Interstage Business Analytics Modeling Server
データ収集や分析プロセスを約200種類の部品化することで、容易に構築できる。現場状況にあわせて入力データや分析手法を簡単に変更できる。同社の試算では工数を約1/6に短縮できる。プロセッサライセンスでの標準価格は350万円となっている。

Interstage Mobile Application Serverの概要

FUJITSU Software Interstage AR Processing Server V1
ARマーカーにスマートデバイスのカメラをかざすだけで、利用者に応じて最適な情報を現物に重ね合わせて表示できるARの開発・実行・管理の機能を備えた統合基盤。内蔵カメラやタッチパネルの操作で現物に合わせて情報を登録できる特許出願済のオーサリング技術で、現場の作業手順やプロセスを追加・拡充できる。また、照度・距離・手ぶれに強い富士通研究所のARマーカー技術(特許出願済)により、店舗やプラントなどの環境でも利用できる。出荷は8月で、プロセッサーライセンスでの標準価格は110万円となっている

Interstage AR Processing Server

 このうち特に注目したいのは、やはり個人向けサービスとして利用されているARを業務システムで用いるべく導入されたInterstage AR Processing Serverであろう。富士通では、点検や申し送り事項を共有し、作業盛りを防止したり、作業手順や専門家のアドバイスなどをARで表示されることで、作業品質を向上させるといった用途を想定している。実際、富士通の沼津事業所のプラント点検業務でも活用されており、ビデオも披露された。

活用の様子がビデオで披露された

 その他、スマートデバイスのセキュリティを強化する「FUJITSU Software Systemwalker Desktop Patrol V15」「FUJITSU Software Systemwalker Desktop Keeper V15」、低速な回線でも高速なTCP/IP通信を可能にする「FUJITSU Software Interstage Information Integrator V11」、PostgreSQLのインターフェイスを採用した高信頼・高性能なデータベースFUJITSU Software Symfoware Server V12」、オンデマンド型バッチの性能を高速化したFUJITSU Software Systemwalker Operation Manager V15」などもあわせて発表された。

 なお今回の製品はオンプレミスでのソフトウェアとして提供されるだけではなく、すべて同社のパブリッククラウドサービス「FGCP/S5」をはじめ、「ニフティクラウド」や「AWS(Amazon Web Services)でも利用できる。

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