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iPad miniなど利益率が低い製品の売上比率増える

アップル13年1〜3月期決算、過去10年で初の純利益減少

2013年04月24日 09時30分更新

文● 鈴木淳也(Junya Suzuki)

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 米Appleは4月23日(現地時間)、同社会計年度で2013年第2四半期(1〜3月期)決算を発表した。すでに一部で予想されていた通り、同社としては過去10年で初めて純利益が減少した。同四半期の売上が年率11%伸びているのに対し、純利益の減少幅は-18%と大きく、iPad miniのような比較的利益率の低い製品の割合が大幅に伸びていることが分かる。

 一方で、業績悪化がアナリスト予測を下回ったほか、同社が積極的な株主還元プログラムを発表したことにより、23日の取引終了後の同社株価は時間外取引で一時5%近くと20ドル以上の上昇を見せている。

売上増も利益は大幅減、一方で株主還元を大幅拡充

 Appleの同四半期の売上は436億ドル(約4兆3344億円)で、前年同期比11%増、純利益は95億4700万ドル(約9491億円)で18%の減少だった。希薄化後の1株あたりの利益(EPS)は10.09ドルとなっている。All Things Digitalによれば、アナリストらによる事前の業績予想は売上が423億ドル(約4兆2000億円)、EPSが9.98ドルであり、これら予想を上回っている。

 また、Apple CEOのTim Cook氏が「Appleで過去最大規模」とする株主還元プログラムを同日発表しており、前述のように23日の取引終了直後の同社株価は時間外取引で一時5%以上の大幅上昇を見せた(その後大きく変動して原稿執筆時点では前日比マイナスになっている)。

 Appleが発表した株主向けの利益還元プログラムとは、2015年12月までに自社株買いなどで1000億ドル(約9兆9413億円)規模の利益還元を株主に対して行なうというものだ。昨年2012年に発表された還元プログラムでは550億ドル(約5兆4677億円)が設定されており、およそ倍増されたことになる。

 また、株式配当の15%上積みも役員会で承認されたことを発表しており、Cook氏によれば業界でも屈指の株主還元率の高い状態になっているという。ここ最近になりピーク時の700ドルオーバーから400ドルと約半年で急降下したApple株価だが、こうした形で株価維持の施策を出せるのはキャッシュ資産を豊富に持つ同社ならではだ。

 製品ごとの販売数推移も発表されている。それによれば、同四半期に販売されたiPhoneの台数は昨年同期の3510万台から3740万台と微増、iPadは1180万台から1950万台と大幅増、Mac製品は昨年同期の水準だった400万台を若干下回る形となった。iPadについては、「iPad Retinaディスプレイモデル」と「iPad mini」の両方が含まれているためその比率は不明だが、おそらくは昨年比での増加分はほぼiPad miniによるもの。さらに、フルサイズiPadのシェアそのものも侵食している可能性があると予想される。このあたりの変化を踏まえ、今回の決算からいろいろ情報を読み取っていく。

「iPad mini」(Wi-Fiモデル、「ホワイト&シルバー」)

「iPad Retinaディスプレイモデル」(Wi-Fiモデル、ブラック)

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