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コイニー株式会社代表取締役・佐俣さんインタビュー 

iPhoneをカードリーダーにする「Coiney」は何を目指す?

2013年04月25日 23時56分更新

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小額決済をカードで済ませることの後ろめたさ

──日本ならではの風習というか文化が大きく影響するように思いますね。

 はい。同じようなプロダクトを出しても、アメリカと日本では刺さる場所が異なります。いちばん違うのは、支払うアクティビティーですね。アメリカの場合はクレジットカードに加えてデビットカードも普及しているので、数百円であってもカードで支払うというのが浸透しています。日本は少額決済は小銭で支払うか電子マネーで支払うか、となっています。少額決済をカードで支払うのが、なんだか後ろめたいという意識があり、それがとても大きいですね。

 ただ、高額決済を必要とする場所でも、カードが使えない場面が結構あります。例えば、宅配や引っ越し、自宅での修理などです。家に来るものに対しては、現金で支払うというのが一般的で、この市場が残っており、15兆円とか20兆円とかあるわけです。また、屋内でも、店員さんがその場で決済したいというところはありますね。アパレルやインテリアショップ、飲食店など……。テーブルチェックでカードを渡したら店員さんが奥のレジに行って戻って来る、ということは多いですよね。お客さんの不安感が生まれますし、そのときの店員さんの移動コストはオペレーション上結構かかっています。それらを軽減したいという話はあります。

 アメリカで同様のサービスがあっても、それをローカライズして届けるというのが難しいんです。それはアプリケーションのインターフェースといったプロダクトに限った話ではなくて、商習慣というものもあります。日本だと、例えばクレジット決済をすると月に1回や2回締められて翌月に支払われるのが一般的ですが、アメリカだともっと早くに支払われます。その国でどのようにビジネスが成り立っているのかを知ることが大事ですね。

米国基準で見ると、カードもまた日本はガラパゴス

──日本はカード決済に対する振込に時間がかかるため、あまりカードが好まれない事情もありますよね。

 そうですね。だから私たちもそこを早めたいと思っています。

──早められるものなんですか?

 頑張れば(笑)。これはいろんな会社さんとの交渉になります。この月1回締め、2回締めというのは、法律ではなくて本当の習慣なんです。いままで文化でそういう支払いサイトになっているのですが、もっといいかたちがないか考えています。日本が遅れている部分でもあると思うので、そうした商習慣自体も変えていきたいと思っています。

 決済がどうあるかというのは、ベースの知識として持っていたつもりですが、私の知識はアメリカの決済システムかつオンラインの決済システムの知識だったんです。はじめてみたら日本はガラパゴスで全然違った、という感じですね(笑)。

 いまはスマートフォン決済が初期の段階なので、あえてハードウェアを設けることで、「お店の人がカードを手にとって機械で読み込む」というアクティビティーを変えないようにしています。そこはいまの日本の習慣を意識していますね。カメラでカードを読むとかタッチするとか、将来的には変わっていくかもしれません。私たちは特にハードウェアに固執しているわけではないので、そのあたりはタイミングを見ていきたいと思っています。

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