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動画に強い多機能コンパクトの「実力」を検証

究極の旅カメラを探して「PowerShot SX280 HS」に行き着いた

2013年04月26日 16時00分更新

文● 小林 久、写真●小林 伸、篠原孝志(パシャ)

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キヤノンが満を持して投入する“多機能コンパクト”。それが「PowerShot SX280 HS」だ。DIGIC 6を搭載し、手ぶれ補正も進化。静止画はもちろん動画もキレイに撮れる。新しい時代を切り開く“動画コンパクト”カメラの誕生だ

 旅の記憶を記録する。これはデジタルカメラを持つ動機であり、意義だ。

 サイズがコンパクトで、写真も手軽に撮れるスマートフォンは“メモ感覚”で日常を記録するには十分なデバイス。しかし、ズームが非搭載、暗い場所に弱いなど、思い出を“高画質な写真”として残すには少々力不足に感じる面がある。

 旅はまさに一期一会。貴重な経験であればあるほど、記録するカメラにはこだわりたい。市場には本格的なレンズ交換式一眼レフから、より小型でスタイリッシュなミラーレス一眼、そしてスナップ撮りに適したコンパクトデジタルカメラなど多種多様の製品がある。

 ポケットに入れて持ち運んでも負担にならないほど軽量コンパクトで、それでいて画質には妥協したくない。そう考えるなら注目は“多機能コンパクト”と呼ばれる、多彩な機能を搭載したデジタルカメラだ。

20倍の高倍率ズームに加え、GPS+Wi-Fi搭載がトレンド

 “全部入り”とも言えるこのカテゴリー。実際ユーザーの支持も受けており、市場でのシェアはこの2年で実に約4倍に成長したという。

 まずコンパクトなボディーでも光学20倍クラスのズームレンズを備えている。人物撮影や料理といったものはもちろん、風景撮りに適した広角撮影(35mmフィルム換算で25mm相当がひとつの基準)から、遠くにある被写体にもぐっと迫れる望遠撮影(同じく500mm相当が基準)まで。1台で幅広いシチュエーションの撮影をこなせる。

日常のスナップ撮りから、望遠撮影まで。様々な場面を1台のカメラで押さえられる

 また、GPSやWi-Fi機能など多機能をうたう製品も多い。撮影した場所や移動の記録を残せるGPSログ機能。パソコンを介さずに無線でオンラインストレージへ写真をアップしたり、コメント付きの写真をSNSに投稿できるWi-Fi機能。さらに静止画の撮影だけでなく、高画質な動画撮影をうたう製品も多い。スナップ感覚でも動画をフルハイビジョンの高画質で残せるのだ。

 高画質な撮影には、手振れ補正や夜景に強い高感度対応といった要素も重要だ。旅ではフットワークの軽さも重要。できれば荷物を減らしたいというニーズにも、コンパクトなボディー1台で完結できる“多機能コンパクト”なら、十分に応えてくれるはずだ。

ぶれない、滑らか! 動画に強い、多機能コンパクトが誕生

 こうした市場動向を踏まえ、キヤノンは「PowerShot SX280 HS」を発表した。定評ある映像エンジンDIGICを、最新の「DIGIC 6」にいち早く進化させ、動画性能を大幅に向上させるなど、満を持した製品だ。

PowerShot SX280 HS。動画機能の大幅な改善はもちろん、Wi-FiやGPSといったトレンド機能ももちろん搭載する

 最大の特徴と言えるのが、高画質な動画撮影機能。フルハイビジョンの映像でも、毎秒60コマで記録でき、滑らかかつ残像感も低減。ビットレートは約35Mbpsとビデオカメラ並みの情報量だ。向上した処理能力を存分に活用したノイズリダクションの画質も向上。DIGIC 5搭載機より2段高いISO感度(ISO 400に対してISO 1600相当)でも、解像感を損なわずノイズを押さえた撮影が可能になっている。

従来機種(PowerShot SX260 HS)で撮影したISO 400相当の画像

PowerShot SX280 HSで撮影したISO 1600相当の画像

 また、“動画に強いコンパクト”をキャッチフレーズに、手ぶれ補正機能も“5軸”に強化。光学式補正と電子式補正の両方を使って、カメラを左右に傾けた際の歪み(回転軸補正)、カメラを水平に振った際の歪み(水平回転軸補正)、カメラを前後に傾けた際の歪み(縦回転軸補正)に加え、カメラを上下に動かした際のぶれ(上下補正)、カメラを左右に平行移動する際のぶれ(左右補正)という5つの補正が可能になった。

 止まった状態でカメラを手に持った場合の撮影はもちろん、歩きながら被写体を撮影するといった“歩き撮り”にも効果的。画質劣化が少ない光学式手ぶれ補正と細かな動きに強い電子式手ぶれ補正を組み合わせ、手持ちでも安定した動画の撮影ができる。

 記録形式も従来機(PowerShot SX260 HS)のMOV形式からAndroidスマートフォンなどで一般的なMP4形式に変更。PC、スマートフォン、タブレットとのファイル交換が手軽になった。ビデオカメラや各社のデジカメではAVCHD形式を利用している場合も多いが、AV機器との連携ではなく、PC上での編集やスマホ・タブレット上での再生をメインに考えるなら、こちらのほうが使い勝手がいいだろう。コーデックにはMPEG-4 AVC/H.264+MPEG-2 AAC-LCを使用。音声形式は非圧縮のリニアPCMからの変更で、約40%と大幅なデータサイズの圧縮が可能になっている。

ココがすごい! PowerShot SX280 HSの動画性能

DIGIC 6

(1)DIGIC 6採用、ノイズが少なく滑らか

 映像エンジンは新世代のDIGIC 6に。処理性能が大幅に向上したことで特に動画性能が飛躍的に向上している。従来機種の毎秒24コマから毎秒60コマとなり滑らかでスムーズになった動画の動きに加え、暗部のノイズの低減など、より高い品質を実感できる。


ダイナミックISの進化

(2)ISが進化! 圧倒的な性能を実現

 手ぶれ補正機能は、手でカメラを支えた際に生じやすいゆっくりとした動きやカメラが傾くことによって生じる歪みを防ぐ光学式補正と、平行移動時の細かなぶれに強い電子式補正の2本立て。歩き撮りなどスナップ感覚での動画撮影にも効果がある。


オートフォーカスの時間は半分以下に

(3)AF速度が向上し、タイムラグが少ない!

 シャッターチャンスを逃さない軽快なレスポンスも特徴。シャッターを押してから写真が記録されるまでのラグは従来機の半分以下になった。AF速度の向上は動画撮影も快適にする。アングルを急に変更した際にも短時間で被写体にピントが合うためだ。

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