Googleは、ウェブサイトにおけるアクセス速度をまとめたレポート「Site Speed」の最新測定結果を公開した。
Site Speedはウェブサイトの稼働状況をモニタリングするGoogle アナリティクスサービスの一環として提供されているもの。主に該当URLへのアクセスから実際のページ表示までにかかる時間を計測しており、アクセス回線の速度やサーバーへの接続経路、レスポンス時間などを総合的に加味した実利用感覚に近いデータとなっている。
今回公開された2013年版では世界中での1週間の計測データを基に集計が行なわれており、昨年2012年に初めて公開された集計データとの比較が中心となっている。はたして、世界のウェブアクセス事情は1年間でどのように変化したのだろうか?
サイトのアクセス状況から2013年のトレンドを読む
Googleが紹介するSite Speedのレポートでは「Page Load Time」が基準、つまりサイトへのアクセスから実際にページが表示されるまでの時間が集計され、プラットフォーム別や国別の状況が把握できるようになっている。
前述のように、この年次集計報告は昨年2012年4月からスタートしたばかりのため、当初は「デスクトップ」「モバイル」別でのロード時間を秒単位で「Median(中央値)」「Mean(平均値)」でグラフにまとめたデータと、国ごとのデータが分かるインタラクティブマップが紹介されただけだった。2013年版では前年とのデータ比較が中心となり、主にその変化率が分かる形で集計が行なわれている。まずは順番に最新版のデータを見ていく。
大きく改善したモバイル環境
以下の図は「Page Load Time」をデスクトップとモバイル別に2012年と2013年のデータで並べたものだ。Median(中央値)、Mean(平均値)はどちらも「集計データの平均」を表すものだが、Median(中央値)は全集計データを順番に並べて「ちょうど半分の数にあたるデータを抽出したもの」なのに対し、Mean(平均値)はあくまで全集計データの合計をその数で割ったものだ。
Page Load Timeの場合、極端にロード時間の短いデータや長いデータがあると、平均値ではそうした極端に偏ったデータに引きずられる形で値が変動しやすいが、中央値の場合はより全体の中央分布に近いデータが抽出される。
つまり、何らかの理由でページのロード時間が長いデータが含まれている場合、図のグラフにあるように平均値(Mean)のほうが中央値(Median)よりも低く出やすい。両者の乖離が激しい場合、多くのユーザーが平均的な速度を享受する一方で、一部ユーザーにはより遅い環境で使わざるを得ないケースもあるとみられる。
デスクトップとモバイルでの比較の話に戻すと、モバイルでは1年で大きな改善が見られる一方、デスクトップではほとんど変化が見られない。ただし、若干ながら平均値のデータが改善していることから、デスクトップにおいてもブロードバンド環境の利用が広まりつつある様子がうかがえる。デスクトップとモバイルでの差は縮まりつつあり、ひと昔前までの「モバイルは遅い」といった時代から変わりつつあるようだ。
ウェブページサイズが56%増大でも、モバイルが30%高速化
これはデスクトップとモバイルでそれぞれ、Page Load Timeを柱状分布で示したものだ。このグラフを見る限り、デスクトップでは「アクセス速度の遅いユーザーの割合が減った」というよりも「より高速なアクセス環境を得たユーザーが増えた」という印象を受ける。
モバイルに関しては全体にPage Load Timeが短くなっており、ボトムアップが図られたことが分かる。Googleによれば、過去1年間でウェブページのサイズが56%も増大しているという。その意味では、デスクトップ環境においてもアクセスの高速化が実現されているといえるのだが、そうした状況でもなおモバイルにおいて30%の高速化がみられるあたり、この分野での進化の速さを感じられる。