ヘッドフォンでもLightningのデジタル出力を生かせる!
ソニー「PHA-1」
音質向上という意味で、最後の最後にヘッドフォンアンプについても触れておきたい。
最新およびこれからのiPhoneやiPodで採用されるLightning端子は、形状の違いだけでなく、デジタル出力変更など数々の仕様変更が加わっており、それまでのドックスピーカーでは変換ケーブルや変換アダプターを使っても再生ができないものもあるなど、Lightning対応モデルが出るまでは、少々混乱が続いた。
同様の混乱はヘッドフォンでも起こりうる。ヘッドフォンアンプには、専用ケーブルを使用することでiPodとのデジタル接続が可能なモデルもあったが、Lightningの登場で対応が難しくなっている。ステレオミニ接続のアナログ接続に比べても、デジタル接続のメリットは大きいし、このあたりはいち早い対応が期待されるところだ。
ただし、現行のヘッドフォンアンプでも、Lightning搭載のiPhoneなどとデジタル接続が可能なモデルはある。そのひとつがソニーのヘッドフォンアンプ「PHA-1」(実売価格3万5000円前後)だ。
本機はもともとiPodとのデジタル接続をUSB端子としており、microUSB(B)端子のほかに標準のB端子も備えていた。そこで、手持ちのLightning―USBケーブルを使って試してみると無事にデジタル接続で再生ができた。
その音はアナログ接続と比べて、中低音域の力強さが増し、音の充実度がレベルアップしたような感じになる。解像感がかなり高まるのだが、細身にはならず、持ち前のパワフルな音の再現がぐっと密度が高まったようになる。厚みのあるサウンドに情報量がぐっと詰まった感じで、かなりの違いだと感じる。
「イーハトーブ交響曲」でも、ホールの響きやコーラスの残響といったかすかな音の余韻がより豊かになり、コンサートホールの現場の雰囲気がしっかりと出るなど、質的な向上を実感できた。
こんな違いを聴いてしまうと、ヘッドフォンアンプにもLightning接続への対応を期待したくなる。iPhone 5+ヘッドフォンというスタイルで音楽を聴くならば、PHA-1はかなり頼りになる武器と言えそうだ。
iPhone 5の音楽ライフをもっと充実させよう!
今回の特集は、Bluetoothスピーカーの音がかなりよくなってきたのをはじめ、比較的低価格帯のイヤフォンがいずれもなかなかできのいい音になっているなど、かなり楽しいものになった。
iPhone 5の音楽スタイルは、誰でも気軽に楽しめるものだが、組み合わせるスピーカーやヘッドフォンによって、より質の高い再生もできるし、活用の幅も広がる。
そして、第2回で紹介した再生アプリを使えば、かなり安価での音質グレードアップもできる。これは、複数のヘッドフォンを使い分けるとか、愛用のヘッドフォンのケーブルを交換するといったオーディオアクセサリー的な楽しみもある。
踏み込みすぎるとどんどんマニアックになっていく危険もあるが、こうした自分好みの音をカスタムしていけることはオーディオ的な楽しみのひとつだ。
iPhone 5での音楽再生はとにかく普通に聞こえれば十分。なんて悲しいことを言わず、ぜひともいろいろと音をチューニングして、より豊かな音楽ライフを過ごしてほしい。
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