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MSが無料検証サービス「modern.IE」を始めた理由

2013年04月17日 11時00分更新

文●小橋川誠己/Web Professional編集部

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 IE6〜8といった“レガシーIE”に悩まされるWeb制作者の支援にマイクロソフトが乗り出した。今年1月に、検証ツールや仮想環境などを無償で提供するmodern.ieキャンペーンを発表。4月には日本語サイトもリリースし、「脱レガシーIE」を訴えている。

「jQueryが古い」と教えてくれる検証サービスも

 modern.ieは、(1)検証ウィザード、(2)検証のための仮想環境、(3)ベストプラクティスで構成される。

 (1)は、URLを入力すると、Webページを検証して、問題点を指摘するオンラインサービス。最新版IEでの問題点がないか、クロスブラウザー/クロスプラットフォームに対応しているか、Windows 8の最新機能に対応しているかを調べる。

modern.ieの検証ツール。URLを入力すると検証してくれる

modern.ieの検証ツール。URLを入力すると検証してくれる

 試しに、ASCII.jp(http://ascii.jp/)を調べてみると、「jQueryのバージョンが古い」「Flash用のCVリストにドメインが登録されていない」「レスポンシブWebデザインに対応していない」といった問題が指摘された。問題点とともに、対応方法や関連するドキュメントへのリンクも示されるので、改善のヒントになりそうだ(ただし、現時点でドキュメントは英語がほとんど)。

ASCII.jpでテストしたところ。いくつか問題点が指摘された

ASCII.jpでテストしたところ。いくつかの問題点が指摘された

問題の詳細を表示すると理由と解決方法が提示される

問題の詳細を表示すると理由と解決方法が提示される

 (2)は、米ブラウザースタックのテストサービス「BrowserStack」を3ヶ月間無償で利用できる権利を提供するもの。BrowserStackはブラウザー上でさまざまなプラットフォーム/ブラウザーの表示結果を確認できるサービスで、IE6〜10はもちろん、iOSやAndroidのブラウザーもテストできる。

3ヶ月は無料で使える「BrowserStack」。IE6などのレガシーIEから最新のAndroidブラウザーまで試せる

3ヶ月は無料で使える「BrowserStack」。IE6などのレガシーIEから最新のAndroidブラウザーまで試せる

 また、ローカルでテストしたいユーザーのためには、Hyper-V、Virtual PC、Virtual Box、VMWare Player、VMware Fusion、Parallelsといった仮想化ソフトを対象に、IE6〜10のイメージファイルも提供している。

仮想化ソフト向けにイメージファイルも提供する

仮想化ソフト向けにイメージファイルも提供する

 (3)は、最新のWeb技術と古いIEに対応するための技術情報をまとめたもの。jQuery財団のDave Methvin氏らが20本のTipsを寄せている。

 マイクロソフトがmodern.ieを始めた背景には、ユーザー、開発者ともに最新のIE10への移行を促したいという思惑がある。次々と新バージョンへ移行するGoogle ChromeやFirefoxに対抗して、IEも昨年から自動更新(サイレントアップデート)を開始したものの、企業ではWindows XP/IE6〜7などがいまだに一定数使われており、Web制作者にはレガシーIEへの対応が求められることが多い。

 だが、レガシーIEへの対応にばかり気を取られていると、最新環境への対応が遅れがちになる。たとえば、「jQuery 1.5.1未満がIE9〜10でうまく動作しない」といった互換性の問題が放置されることも少なくない。検証サービスなどを提供することでレガシーIEへ対応する負担を軽減し、その分、Windows 8やIE10のような最新環境への対応に力を入れてほしい、というのがmodern.ieに込められたマイクロソフトの願いというわけだ。

 マイクロソフトでIEのシニアプロダクトマネージャーを務める溝口宗太郎氏は、「常に最新ブラウザーを基準に制作し、古いバージョンにはフォールバックで対応してほしい」と呼びかけている。

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