メモリならではの「2D RAID」で可用性を確保
もう1つ特徴的なのは、システムの可用性を高める仕組みが数多く盛り込まれている点。モジュール上のチップレベルでRAID5が組まれているほか、障害が起こったチップを自動的に切り離し、残ったチップでRAIDを再構成する「Variable Stripe PAID」をいう技術が組み込まれている。さらにチップ単位のRAIDに加えて、RAIDコントローラーを搭載するHAモデルではモジュール単位でRAIDを実装。“縦”と“横”の「二次元フラッシュRAID」と称するこうしたハイブリッドのRAID技術で高い可用性を実現する。
加えて、ECCによるデータ保護、使用率の高いセルのデータを使用率の低いセルに移すウェアレベリング、書き込みに時間のかかるフラッシュのキャッシュとしてウルトラキャパシタで保護されたDDR SDRAMを用意するなど技術を満載している。
こうしたハードウェア主体の設計により、HDD換算で約4000個分にあたる1秒間に40~50万回というIOPSを1Uサイズで提供。消費電力という点でも、1台300W程度しか使わないので、ラックあたりで19kW程度。1台あたり20TBの大容量を実現しているため、スペース効率が高いことをアピールした。
佐野氏は、利用用途としてIBM FlashSystemと他のストレージとの組み合わせを提案した。たとえば、仮想化に対応したSVCやV7000などの機器と組み合わせることで、異ベンダー機種も含めた階層化管理を実現。オンラインでのデータマイグレーションや参照頻度の低いデータのアーカイブ、あるいはフラッシュデータのディスクへのバックアップなども可能になるという。
IBM FlashSystemの最小構成価格は5.2TBでSLCフラッシュを採用した840万9600円(税別)で、4月15日に出荷開始。日本IBMではFlashSystem専門組織を編成するほか、その効果を体験してもらうための試用プログラムを用意するという。