荻窪圭の“這いつくばって猫に近づけ” 第298回

原点に戻ってローアングルで撮影した猫たち

都会の猫も這いつくばって……

ちょっと不敵な顔をしてるけれども、実はすごく人なつこくて、とことこと近づいてきたりする。道路脇のちょっとした休憩スペースにいつもいるみたい（2012年2月 ソニー NEX-5N）

　お次は都会の猫。なんと千代田区の日本橋川の近く。自転車で近くを走ってて、そういえば数年前、ここで猫を見かけたな、今でもいるかなと休憩がてら立ち寄ったら、同じ猫が同じ場所にいたのである。

　人なつっこい猫でした。耳に切り欠きがあるところをみると、ちゃんと去勢されて、近所の猫ボランティアの人に世話してもらっているのだなってことがわかる。

　さらに近づけないときや、これ以上近づくとよそさまのおうちに踏み込んじゃうというときはぐっと望遠にして。

気持ちよく伸びて昼寝してたのに誰か来やがった、的な顔。コンクリートの感触が気持ちいいのかゴロゴロ転がっておりました（2010年4月 ソニー Cyber-shot DSC-HX5V）

　この猫、私道、というかおうちの前の駐車スペースでごろごろしてました。公道からちょっと奥まってるから安心して堂々と転がれたのかと。我々が「あ、猫がいた」と騒いでたので起きちゃった瞬間だ。

　警戒心が強い猫はちょっと離れたところでじーっとこっちを観察する。両者の間を隔てるもの（門とかフェンスとか）があると人が不用意に近づいてこないからOKってことを猫はよく知っているから、慌てて逃げたりはしない。そんな黒猫とちょっと見つめ合ってみたの図。

地面スレスレ猫目線で黒猫。黄色い目がキリッとしておりました（2013年2月 オリンパス OM-D E-M5）

　見てわかるとおり、ほんとに地面ギリギリにカメラを置いて撮ってるわけで、実は私とこの黒猫の間には鉄の小さな門があるのだ。門の下の隙間から撮ってみるのである。おかげでいい感じに猫目線になった。

　猫をおどかさないようこーっそり隙間から覗いてみる。立ったときの人間目線からは隠れてても、しゃがんでローアングルで探すといい感じに様子をうかがえるスポットが見つかったりするのだ。

鉢の隙間からお店の前でくつろいでる猫を狙ってみた。くつろいでるところを撮りたかったけど、思い切りバレてます（2012年8月 オリンパス OM-D E-M5）

　これは喫茶店の前でくつろいでいた猫。お店の両脇に大きな鉢植えがいくつか置いてあったのでその隙間から猫が見える角度を探して狙ってみた。

　この猫もちゃんと耳に切り欠きがあるからこのあたりの地域猫なんだなということがわかる。まあ、私がこっそり覗いてるのはバレバレよ、って顔をされてるけどその表情が可愛いのでそれもまたよしである。

　というわけでみなさまも一緒に這いつくばりましょう。

筆者紹介─荻窪圭

老舗のデジタル系ライターだが、最近はMacとデジカメがメイ ン。ウェブ媒体やカメラ雑誌などに連載を持ちつつ、毎月何かしらの新型デジカメをレビューをしている。趣味はネコと自転車と古道散歩で、天気がいい日は自転車で都内を走りながらネコを探す日々。単行本は『ともかくもっとカッコイイ写真が撮りたい！』(MdN。共著)、『デジカメ撮影の知恵 (宝島社新書)』(宝島社新書)、『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』(翔泳社。共著)、『東京古道散歩』(中経文庫)、『古地図とめぐる東京歴史探訪』（ソフトバンク新書）。Twitterアカウント @ogikubokei。ブログは http://ogikubokei.blogspot.com/