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前田知洋の“タネも仕掛けもあるデザインハック” 第13回

米ヤフー「在宅勤務禁止令」 働き方の新デザイン

2013年03月22日 09時00分更新

文● 前田知洋

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フリーランスは、毎日がリストラ

 筆者は、もう25年以上もフリーランスで働いていたから、企業に所属して給料をもらえるなんて、少し羨ましいとずっと思っていた。そんなことを同窓会などで話すと、友人たちに「こっちはリストラ寸前。フリーランスがうらやましい」なんて怒られる。でもフリーランスは毎日がリストラされてるのとほぼ同じ。こっちはあっちが羨ましいし、あっちはこっちがラクに見える。

ペットと過ごせるのも在宅勤務の魅力だが…

 最近は、ブラックだとかノマドだとか、ましてや、ネオヒルズなんてカタカナの形容詞がブログやニュースサイトを賑わす。そんな「働くこと」の本質って、いったいなんなのだろうか。

 筆者にとって「働く」とは、下の3つステップに集約される。

(1)予想を立てて準備をする
(2)社会とコミットメントする
(3)信用の糸をつなげて面にしていく

 Twitterを創業したジャック・ドーシーが、誰でもクレジットカード決済をするための親指サイズの「Square Card Reader」を開発したように、「望まれることの仮説を立て、実現する」ことが必要になる。ドーシーほどの大物でなくとも、学生が就職に有利なように、英語を勉強してTOIECで良い結果を出しておくことも準備のひとつだし、企業人が昇進に有利な資格をとることも同じだ。

 次に社会に関わり、評価されることが必要になってくる。たとえば、スゴいプロジェクトのアイディアがあったり、立派な文章を書けると思ってみても、それを誰かに認めてもらいバックアップされる必要がある。知人の文筆家が「プロの文筆家というのは、自分の文章を売るすべを持っている人のこと」と言っていたのを印象深く覚えている。「プロというのは、自分の『労働の結果』を売るすべを持っている人のこと」と言い換えることができるかもしれない。

 最近は、信頼関係の糸が、特にビジネスにおいては、簡単に切れてしまうことが多くなってきた。たとえば、いつもはAmazonで買い物していても「少し安いから今回は楽天で」なんてことは、最近では当たり前のようにおこなわれる。付き合いよりも資本主義的な考えが、よりシビアになってきた。そんなリスクを避けるために、1つのクライアントから受注の割合や関係を大きく、太くするのではなく、細くても様々なクライアントと繋がるほうがメリットが大きい時代になった。ちょうど蜘蛛の巣が細くとも、数カ所を支点にして面に拡がっていくことに似ているかもしれない。

「冷静に仕事ができるように」と仕事部屋の壁は一面をブルーにした

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