着々と準備が進む、Windows 8 Pro搭載の「Surface Pro」
しかし、Surfaceの本命となるのは、やはり「Surface Pro」であろう。
Surface ProはWindows 8 Proを搭載しており、これまでWindows用に開発されたアプリケーションがそのまま動作する。
すでにSurface Proが発売されている米国での価格は899ドルと、Surface RTよりも割高になるが、他のWindows 8搭載タブレットに比べてもひけをとらない価格競争力を備えている。iPadに比べると200ドルほど高いといえるが、それでもOfficeが搭載されている分を差し引けば同等の価格帯ともいえるだろう。
日本マイクロソフトでは、Surface Proを投入する姿勢は崩しておらず、あとは参入の時期を計っているところだといえる。
そして、それにあわせて、Surface RTでは1000店舗に限定していた量販店での取り扱いを、法人ルートなどにも拡大する姿勢をみせる。
どんなタイミングでSurface Proを投入するのか。どんな販売促進策に乗り出すのか。本命の投入を前に、準備は着々と進んでいるようだ。
マイクロソフトがハードウェアを発売する理由
しかし、そもそも、なぜマイクロソフトがハードウェアを発売する必要があるのだろうか。
日本マイクロソフトの樋口泰行社長は次のように説明する。
「以前のPCは、処理速度が速ければいい、性能が高ければいいというように技術だけが注目されていた。それが使いやすい条件だった。しかし今は、どんな付加価値が得られるのか、どんなワークスタイル、どんなライフスタイルが必要になるのかが重要になってきた。また、デザイン性も重視されてきた。さらにそうした製品をいち早く市場投入する必要も出てきた。
ハードウェアと、ソフトウェアをうまく組み合わせる“すり合わせ”が重要になり、Windows Storeのようにサービスまでトータルで提供する必要も出てきている。ハードウェアメーカーが得意とする研ぎ澄まされた製品も必要だが、ハードウェア、ソフトウェア、サービスまでをすべてまとめた形で投入する製品も大切になってくる」。
そしてこうも語る。
「PCメーカーと同じカテゴリーで戦っている製品ではなく、タブレットという新たなマーケットをクリエイションする上で、新たなカテゴリーの製品として投入したものである。そして、Windows陣営と戦うのではなく、Windows以外の陣営との戦いになる。
今は、トータルとしてWindowsを盛り上げていかなくてはならない時期にある。Surface RTによってお客様が店頭に足を運ぶことになり、売り場の盛り上げ材料のひとつになればいいと考えている。店頭に来れば、Surface RTだけでなく、Windows 8を搭載した数多くのPCの中から最適な製品を選んでもらうことができ、結果としてWindows陣営全体を盛り上げることになる」。
だが、これまでのSurface RTの予約状況を見る限り、Windows 8の盛り上げ材料にはなっていないともいえる。
やはりSurface Proを待たなくては、Windows市場は盛り上がらないのか。
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