過去のメールが未来に届く?
あとまわし機能
Mailboxで面白いのはメールの後回し機能、もしくは先送り機能です。届いたメールについて、その場で返事をしたり、既読にしたり、削除したりするだけでなく、今ではないいつかに返事を書こうというリマインダー機能ということもできます。
その先送りとは、「今日の後ほど」「今晩」「明日」「週末」「来週」「1ヶ月以内」「いつの日か」「日付指定」の8種類です。い、いつの日か(Someday)って、それにしてもなんなのでしょう……。この「いつの日か」はGmailでいう「スター」、一般的なメールソフトでいう「フラグ」に対応しており、Somedayをつけたとしても、Gmail上では「スター」のメールボックスに格納されるので安心です。
そして、指定した期日になるとメールの新着受信と同じようにプッシュ通知が入り、そのメールに返事をしたり対応するようアプリが促してくれます。メールを管理するうえで、もちろんその場で返事ができればよいのですが、何か考えたり用意しなければならない場合、既読になった状態でメールボックスに放置というパターンは少なくありません。
そういう場合でも、ちゃんとプッシュ通知でリマインドしてくれれば、対応し忘れがなくなるというわけです。
1週間使ってみての感想は?
Mailboxの受信箱を空にするという考え方や、先送りして後からリマインドしてくれるという使い勝手は、非常に納得感があり、またすぐにその使い方を理解し慣れることができました。
MailboxがないMacやiPadではもうメールを見たくないとまで感じます。現在Mailboxは無料で提供されていますが、iPad版やMac版が有料であれば、ぜひ購入して使ってみたいと思います。それほど、iPhoneばかりでメールを読み書きするようになってしまいました。
Mailboxで受信ボックスを空にしたときの快感は確かにあるのですが、先送りした案件が残っていたりすると、決してすがすがしいものではないという感覚もまたあります。ただ、スマートフォンでのメールチェックはスキマ時間に行われるため、そのスキマ時間の生産性を十分に高めてくれていると思います。
個人的にぜひ入れて欲しい機能は、「今日の後ほど」「今晩」「明日」といった後回しのリマインダーを、自分のiPhoneに入っているカレンダーを自動的に参照して、スケジュールが入っていない時間帯にプッシュしてくれるとより賢いのではないかと思いました。
今後も非常に期待が持てる、筆者の生活に定着しそうなMailboxですが、とはいえ、電子メールを使い始めてそろそろ18年近く。こうしたメールの習慣が今後どのように変わっていくのか、もう少し見守りたいと思います。
筆者紹介――松村太郎
1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。
公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura
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