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2012年CPUクーラー最強王座決定戦 第4回

野心作が多数! 2012年CPUクーラー王座決定戦【第4回】

2013年03月07日 16時00分更新

文● 加藤 勝明

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2012年の王座はどの製品に?

 今回のテスト環境では、CPU温度72℃が上限で、ここを超えようとするとOCCTあるいは電源が落ちる。つまり冷却力の大小は72℃からいかに下がったかがチェックポイントとなる。

ちなみに、昨年2011年の最強王座はTHERMOLAB「TRINITY2011」(写真左)と、Thermaltake「Contac30+」(写真右)だった

 今回エントリーした21製品中では、トップフロー式の製品はすべて70℃以上、あるいは4.6GHzでの負荷試験を通過しないため全滅といっていい。サイドフローかつ大きめのヒートシンクやファンを備えた製品16製品での比較となった。

 その中でもダントツな冷えを示したのがサーマルティク製の「Frio Extree」。ファンノイズがかなり大きく、静音目的には使いにくいクーラーなことは確かだが、高負荷時50℃未満になったのはこの製品だけ。今回のグランプリは間違いなくこの製品だ。

エントリーした製品の中で他者を寄せ付けぬ50℃切りを達成した「Frio Extreme」。図体がデカい上に騒々しいので使いどころは限られるが、メンテナンス性もそこそこ高く静音性以外のバランスは良好

 続いては同じサーマルティク製「Contac39」、そしてThermalright「Silver Arrow SB-E Extreme」と続いた。新興注目株のPHANTEKは比較的良好な性能を示していたが、今ひとつ飛び抜けたところがなく(さらに割高)、今回は受賞を逃した。

Thremaltake「Contac 39」

Thermalright「Silver Arrow SB-E Extreme」

 ファンノイズの低さでは「Hyper 412」と「Macho Rev.A(BW)」がトップ2だが、暗騒音のブレ幅(1~2dBA)とCPU温度の低さを考慮し、Thermalright「Macho Rev.A(BW)」を推したい。同社のクーラーの土台は組み込み作業のしやすさ(ネジを樹脂製ワッシャーで仮留めできる、土台をマザーに完全に残しておけるなど)もよく考えらえており、いろいろとCPUを取り換えて試したい自作ユーザーに優しいという点も評価を後押しした。

静音志向のユーザーには「Macho Rev.A(BW)」を推したい。14cm1ファンで大型ヒートシンクを冷やすことで、高負荷時の冷えと静かさを絶妙なバランスで成立させた製品だ

2012年を振り返る

 今回、CPUはTDP 125Wの「AMD FX-8350」を使ったため、残念ながら一部の製品でオーバークロック条件では通らなかったものが出現した。しかしIvy BridgeのようなTDPの低いCPUを使う分には、どの製品も大して困ることはなさそうだ。

 CPUクーラーの形状は、昨年同様12cm以上の大型ファンを搭載した製品が主流で、ハイエンドクラスは14cmファン搭載がほぼ必須の状況。インテル系マザーではソケットのバリエーションが増えすぎて、パッと見ただけで組み込めるような製品は非常に少なくなってきた。

「兜2」のようにLGA1155/AM3+のリテールクーラーと同じ固定方法を採用したCPUクーラーは絶滅危惧種となった

 マザー上のヒートシンクに阻まれやすいプッシュピン式がすっかり廃れてしまい、ネジ留め式がメインになったのはいいが、ファンの着脱や固定用ネジを回す際の手間など、メンテナンス性が著しく低い製品もいくつか見られた。

 今回、冷却力は今ひとつの結果に終わったが、「Fenrir-Siberia Edition」や「PH-TC14CS」のような正統派変態クーラーが出てくるあたり、まだまだCPUクーラー選びは楽しめそうだ。

TITAN「Fenrir-Siberia Edition」

PHANTEKS「PH-TC14CS」

 市場にはすでにHaswell対応をうたった製品も出始めている。自作PC向けのHaswellでは、TDP 35~77Wがメインとなり、エンスージアスト向けが100W以上になるため、CPUクーラーのデザイントレンドはこれまでとそう変わらないことが予想される。来年の今ごろどんなCPUクーラーがテストできるのか非常に楽しみだ。

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