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超高音質オーディオ配信で変えるPCオーディオ環境 第3回

意外に敷居は低かった!? プレステ3からはじめるDSD

2013年03月06日 12時00分更新

文● 鳥居一豊

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ミニコンポでだってDSDは聴ける!

  • 必要なソフト:――
  • 必要な音源:購入したDSD音源
  • 必要なハード:PC、DSD対応ミニコンポ

 PCオーディオに抵抗を感じる人は決して少なくない。実際、筆者もその一人だった。電源から回り込むノイズの影響や、デスクトップPCならば放熱のためのファンノイズなど、オーディオを聴く場所に置きたくないという人もいるし、難しくてわからないという人もまだまだいるだろう。

 実際のところ、オーディオコンポの世界はどうなっているのだろうか。ハイレゾ音源などの再生はネットワークプレーヤーがある。AVアンプはネットワークプレーヤー機能やUSBメモリー経由の再生とかなり充実している。だが、DSD再生については、PCの方が有利だし、オーディオコンポはやや立ち後れている印象だ。

 そのなかで、かなりがんばっているのがオンキヨー。「e-onkyo music」でいち早くDSD配信を開始し、今回は触れていないが実はハイレゾマルチチャンネル音源なんていう凄いソフトの配信までやっている。それに合わせて、再生可能な機器をきちんと投入し、再生環境を整えているのだ。

 たとえば、AVアンプの上級モデルでは、DSD音源のネットワーク再生に対応するなど、高音質音源への対応では他社より先を進んでいる。

オンキヨーのミニコン「CR-N755」にスピーカー「D-055」を組み合わせて使用。6万円ちょっとで揃えられる

オンキヨーのミニコン「CR-N755」にスピーカー「D-055」を組み合わせて使用。6万円ちょっとで揃えられる

 今回紹介するのは、もうちょっと身近なコンポーネントの「CR-N755」(実売価格4万3000円前後)。ネットワークCDレシーバーと呼ばれるコンポだが、もう少しかみ砕くと、ネットワークプレーヤー+CDプレーヤー+レシーバー(チューナー+アンプ)が1つになったもの。要は後はスピーカーをつなぐだけで音が出るというモデルだ。

 このモデルが、ネットワーク経由とUSBメモリーに保存したDSD音源の再生に対応している。CD再生もでき、ラジオも聞け、「radiko.jp」などのインターネットラジオもOKと、これ1台であらゆる音楽ソースに対応しているのは圧巻だ。

 DSD再生に限っても、PCの場合は対応するUSB DACを用意したり、再生ソフトのインストールやドライバーの準備が必要だったが、CR-N755の場合は、購入したDSD音源をUSBメモリーに保存するだけ。

CR-N755の前面と背面。各々USB端子があり、どちらにもUSBメモリーを差すことができる(iPhoneなどの接続は前面USB端子のみ)

 後は本体前面または背面のUSB端子にメモリーを差せばOK。圧倒的に簡単だ。ここまで特集を読んで、残念ながら敷居の高さにめげてしまった人にはうってつけとも言える。

セットで約6万円のミニコンポ
……でもあなどれない音質!

 今回は、同じオンキヨーのスピーカーである「D-055」を組み合わせて試聴を行なった(ペアで実売価格1万9000円前後)。スピーカーのサイズが一回り以上大きくなることもあり、これまで感じた生っぽいリアルな音の世界が、さらにスケール感豊かに再現された。

 見た目としてはオーソドックスなオーディオコンポなので、PCオーディオに慣れている人には野暮ったくも感じるかもしれないが、およそ6万円ちょっとという価格で、これだけのシステムが揃うというのは魅力だ。

 ミヨーの「フランス組曲」は、ブラスバンドらしい爽快感のあるサウンドが楽しめた。打楽器の低音も締まりのある音で、ドンと深みのある鳴り方だ。スケール感が大きくなるせいもあり、かすかな空気感や音像定位の明瞭さはやや大味な表現になりやすいが、透明感のある高域の響きや瑞々しい音の鮮度感はよく出る。もちろん、リニアPCMの音の粒立ちの良さ、キレ味を増したような感触の違いもしっかりと出る。

 Suaraのボーカルも、声の生々しさや強弱のニュアンスなどの再現は満足できるレベルだ。ハイレゾやDSD音源の超高周波成分は、耳で聴いているわけではなく、身体で感じているという説もあり、実際、超高周波成分が豊富に含まれた音楽を聴くとリラックス時や集中できているときに出るアルファ波が活発に出るという実験結果もある。

 そのあたりは、より研究を進めてもらうとして、とにかく聴いていて気持ちがいいのだ。CDプレーヤーあたりでオーディオから遠ざかってしまった人、CDの音質どころかMP3でまったく問題ないと思っている人にはぜひ体験いただきたい音だ。

 オーディオの歴史を振り返ると、アナログレコードからCDになって高域再生に物理的な制限がかかり、圧縮音源が登場してCDの情報量以下で音楽を聴くようになった。

 利便性を追求して音を犠牲にしてきたのがここ最近のオーディオだった。だから、高音質を求めるには天井知らずの予算がないとムリというのが常識化してしまった。

 ところが、PCオーディオは最上の音源が手に入り、最小限の予算で十分にその音を楽しめるシステムが揃っている。こんなに豊かな音が楽しめる時代は、実際のところ今までにはなかったのだ。

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