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業界人の《ことば》から 第28回

転換期を迎えるシャープのビジネス

オンリーワンはホームラン狙い、スモールヒットの経営へ

2013年02月26日 09時00分更新

文● 大河原克行

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今回のことば

「シャープは、作り手論理の”オンリーワン”から、顧客重視の”ナンバーワン”に転換する」

(シャープ・奥田隆司社長)

売上が増えれば利益も増えるという非常識

 シャープの奥田隆司社長が、2013年の方針として、「転換」を意味する2つのキーワードを掲げた。

 ひとつは、「売上拡大からキャッシュの拡大」への転換だ。

 シャープは、2001年1月に、液晶テレビの第1号製品を投入して以来、この市場をリードしてきた企業であるのは周知の通り。だが、世界的な価格競争を背景に、一気にコモディティ化した市場において、売り上げが増加しても、利益が増えないという悪循環に陥った経験がある。いや、利益減少どころか、売っても赤字が増えるという最悪の事態を経験していた。

 かつての売り上げが増えれば、利益が増えるという常識が通用しなくなり、それがシャープの業績を悪化させた反省がある。

 シャープは、液晶テレビ事業において、量を追う戦略から、60型以上の大画面テレビを中心とした付加価値戦略へとシフトしはじめたのは、そうした苦い経験がベースにあるためだ。

 現在実行中の構造改革において、そして、2013年3月にも発表される中期経営計画においては、キャッシュの拡大が重要な柱。つまり、利益重視の施策へと舵を切るのは明らかだ。

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