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松村太郎の「西海岸から見る"it"トレンド」 第15回

”ソーシャル疲れ”を脱却する新SNS「Path」の戦略とは?

2013年02月19日 12時00分更新

文● 松村太郎(@taromatsumura

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検索、タブレット、再構築される「ソーシャル」

 Pathは最新のアップデートで、アプリ内での検索を強化しました。Dave Morin氏が目の前で見せてくれたデモは、2012年4月に日本を訪れたときに食べた「人生で最もおいしかった寿司」の写真。Pathの中で「tokyo」と検索するだけで、ものの2秒でその写真を取り出すことができ、驚きました。

最新バージョンに搭載された検索。自然言語で自分の投稿を検索することができる

「人生で一番おいしかった寿司」を2秒で披露してくれた。この素早い検索機能には驚いた

 「Pathの元々のバックグラウンドに、日々のジャーナル、日記があります。シェアすることの前に、毎日の瞬間瞬間や、考えたことを素早く記録するというテーマです。まず自分のための記録であり、それを身近な人と共有するというアプローチです。記録が蓄積されてきたとき、自分で手軽に引っ張り出せるようにするのも自然な事ではないでしょうか。そこで、投稿、写真、動画、チェックインなどの全てのソーシャルデータをパワフルに見つけ出せる自然言語の検索を実装しました」(Dave Morin氏)

 スマートフォンで写真を撮るようになって、友だちとその写真を見ながら会話を弾ませることも増えましたが、1年も前の写真はPCに取り込んで消してしまっているか、カメラロールの奥底にあって、親指で数分スクロールさせなければ目的の写真を見つけ出すことはできないでいました。それを2秒で見つけ出せたので、驚いていたのです。

 Facebookでも時を同じくして「Graph Search」が導入され、「Friends who live in New York」という自然言語で検索を行うことができるようになりました。ただ明確に違うのは、Facebookでは自分の友人の情報を中心に検索すること(外向きの検索)に対し、Pathでは自分の情報の検索(内向きの検索)にフォーカスしている点でしょう。Pathには外向きの検索として「Near by」サーチも導入されています。他人のPathに記録されている体験を、自分の体験のガイドにする、場所に基づいた体験の検索を実現しています。

Near by機能で周囲のカフェを検索。Pathのオフィスの近所の人気はスタバのようだ

 また、長らくスマートフォン向けだったPathが、iPadにも対応しました。端末を横長に構えると、つながっている人たちから流れてくる写真をタイル表示して眺めることができるモードになります。この新しいユーザーインターフェイスは、家族同士で子どもの写真を共有する、といった使い方に適しており、小さなつながりの中で利用するPathらしい使い方といえるでしょう。

ウェブがデスクトップからモバイルに移行へ
アプリを作っただけでは、サービスはモバイル対応にならない

 米国で良く感じるのは、2012年はウェブがデスクトップからモバイルへ移行することが明確になった年だ、ということです。1999年のiモード移行、モバイルが前提でネットを使ってきた日本人の感覚からすると「今頃?」という感覚もあります。眺めの良いデスクトップから見ていたウェブと、小さな画面にフォーカスするモバイルでは「ただ単にアプリでスマホ対応したからといって、サービスがモバイル対応するわけではない」ことに気付かされます。

 Pathのように、より小さくダイレクトなコミュニケーションと、なにより「自分のため」というインセンティブは、モバイルらしいアプローチと言えるのではないでしょうか。


筆者紹介――松村太郎

 1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。

公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura

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