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四本淑三の「ミュージック・ギークス!」 第114回

iPolysix開発者インタビュー後編

iPolysixは単なるアプリではなく新世代のシンセである

2013年02月23日 12時00分更新

文● 四本淑三

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AudioBus対応はリリース1ヶ月前に決定

―― AudioBusにアプリを対応させるのは簡単なんですか?

井上 AudioBusはすごく良くできていますね。Audio Unitを使ってオーディオのアプリケーションを作っている人だったら、すぐに対応できると思います。

福田 確か"40minutes integration"という謳い方をAudioBus側でしていたくらい。しっかりドキュメントもできていて。僕らも実際にやるって決めたのは、ここ1ヶ月くらい。

井上 うん、そうそう。

―― えっ。じゃあ本当にiPolysixのリリース直前じゃないですか。VirtualMIDIもですか?

福田 VirtualMIDIには対応する予定はなかったんです。でもバックグラウンドオーディオへの対応はユーザーの声が多くて、僕らもやる必要を感じていたんです。それでバックグラウンドオーディオを動かすと、自動的にCoreMIDIに対応しているアプリケーションからMIDI情報が入ってくるんです。

―― つまりVirtualMIDIとバックグラウンドオーディオはセットなんですね?

福田 はい、そうです。

VirtualMIDIは楽器アプリ側でバックグラウンドオーディオをオンにすると有効に

―― AudioBusでオーディオストリームがつながる、VirtualMIDIで他のアプリが制御できるとなると、PCのDAW並の環境になってくるわけですが、動作は不安定な方向に行く。これは90年代のDAWの状況に近い気がしますけど。

福田 同じことをデジャヴのようにやってきている所はありますね。

重くなるということに関して、相当気を使っていることが話からうかがえる

井上 重いとか、フリーズとか、90年代後半のあの感じ、嫌ですよね。僕も好きじゃないです。色んなアプリが立ち上がっていて、音が鳴ったり鳴らなかったりしたら、何が悪いのかよく分からなくなるし。だからiPadはアプリ単体で楽しんでもらえばいい、PCのDAWでできることはDAWに任せたらいいじゃないか、とも思っています。でも、iPadがDAW化していくのが本筋であるのならば、そこで止まっていてはいけないとも思うんです。その手前のところで遊んでいられる状態は常に確保しておきたいと思いますけど。

福田 AudioBusにしても、新しいテクノロジーに触るワクワク感というのはあるわけです。これが30年後にスタンダードになる可能性もあるわけで、開発していて、そういうものに立ち会っている面白さというのはあります。まだ、iPadで全部作るという人は、そうめったにいるわけじゃないですが、そのうちこっちでいいだろう、となる日は来るかも知れません。

―― やはりそういう流れは感じますか?

福田 ここ1年くらいでユーザーの声も増えて来ましたし。特に海外のユーザーさんは自分の制作環境に取り入れよう、これを本当にシンセサイザーとして使おうというやり方で。各アプリメーカーが作ったものをAudioBusで切り替えて、ワークステーションを作っていく感じ。iPadをそういう進化する楽器として捉えてもらっているような印象はあります。

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