かゆいところに手が届く
今回公開されたOS X版クライアントは、Cocoa APIを利用するOS Xネイティブアプリ。通知システムの「Growl」や、アップデートを自動化する「Sparkle」といったオープンソースのAPIも活用しつつ、Macユーザーに違和感のないUIと操作性を実現している。前述したとおり、Finderからドラッグ&ドロップすることでファイルをアップロードできる点が強みといえる。
ファイルの受け渡しにも利用できる。適当なフォルダーへファイルをアップロードし、そのアイコンのコンテキストメニューで「公開URLを発行...」を選択すると、100文字はあろうかという長いURLが生成される。
これは一部のオンラインストレージサービスで利用されている方式と同じで、ダウンロード用のURLはパスワードは不要だがランダムな文字列を含む形で生成されるため、第三者による推測が困難になっている。アップロード/ダウンロードはSSLで暗号化されるので、中身を盗み見られる可能性は低い。長いURLを持て余す場合には、短縮URLを発行すればいい。
写真の公開も、前述した一般的なファイルの公開と操作手順に違いはない。ただし、複数の写真が収録されたフォルダーを公開する場合、フォルダーのURLのほかに、「スライドショーのURL」が発行される。そのURLにアクセスすると、スライドショーが表示されるという流れだ。Mobile Meの「ギャラリー」ほど凝った仕掛けはないものの、シンプルなUIで初心者にも理解しやすいはず。パスワードが不要という点も、プラスに作用するように思える。
なお、上述した機能は、Yahoo!ボックスがサポートするOSで共通の機能だ。iOS/Android版にはフォルダーごとアップロード/ダウンロードする機能がないほか、撮影した写真を自動アップロードする機能がAndroid版アプリのみ装備されているなど若干の差はあるが、どのパソコン/スマートフォン/タブレットでもほぼ共通の機能と操作性を利用できる。
強いて言えば、「QuickLookに対応してほしい」「Mac App StoreでもMac版を配布してほしい」とか、「Spotlightからファイル検索できれば」とか、普段Macを利用している人間ならではの要望はあるものの、OS X版クライアントの登場はありがたい限り。今後、メールに添付できないサイズのファイルを担当編集に送る場合は、Yahoo!ボックスを使おうと考えている。
Growl | |||
---|---|---|---|
価格 | 350円 | 作者 | The Growl Project |
バージョン | 2.0.1 | ファイル容量 | 6.1 MB |
対応デバイス | 64bit CPU搭載Mac | 対応OS | OS X 10.7以降 |
|
|||
Yahoo!ボックス for Mac | |||
---|---|---|---|
価格 | 無料 | 作者 | Yahoo Japan |
バージョン | 1.0.0 | ファイル容量 | 10.7MB |
対応デバイス | 64bit CPU搭載Mac | 対応OS | OS X 10.7以降 |
この連載の記事
-
第187回
iPhone
NFCの世界を一変させる!? iOS 11「Core NFC」の提供開始が意味するもの -
第186回
iPhone
Appleと「4K HDR」 - iOS 11で写真/動画を変える「HEIF」と「HEVC」 -
第185回
iPhone
iPhone 7搭載の「A10 Fusion」「W1」は何を変えるか -
第184回
iPhone
オープンソース化された「PowerShell」をMacで使う -
第183回
iPhone
アップル製デバイス連携の鍵、「Continuity」とは? -
第182回
iPhone
DCI-P3準拠へと歩むiPhone/iPad - WWDC基調講演で秘められた新技術は、ここにある(2) -
第181回
iPhone
WWDC基調講演で秘められた新技術は、ここにある(1) -
第180回
iPhone
WWDC直前、買い替え前にマイMacのココをチェック -
第179回
iPhone
私がiTunesを使わなくなった5つの理由 -
第178回
iPhone
今あえてiPhone「Live Photos」を知る -
第177回
iPhone
「Windows Subsystem for Linux」はOS Xのライバルとなるか? - この連載の一覧へ