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POWER7+搭載モデルやハイパフォーマンスなPureDataも投入

IBMの垂直統合型システム「PureApplication」に32コアモデル

2013年02月15日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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2月14日、日本IBMは垂直統合型システム「PureSystems」の新製品を発表した。32コアのエントリモデルのほか、POWER7+搭載機を初投入。さらに製品の特徴でもある「パターン」も、モバイル向け、アセット管理用のパターンを追加した。

パターンテクノロジーに大きな共感

IBM PureSystemsのPureData

 IBM PureSystemsは、ハードウェア、ミドルウェア、アプリケーションまで含め、ラック単位で提供する垂直統合型システムになる。同社は、「エキスパート・インテグレーテッド・システム」というジャンル名で定義しており、インフラ製品をまとめてアプリケーションを載せただけのアプライアンスと異なり、「パターン」というテクノロジーを用い、アプリケーションに最適化されたシステム構成や運用管理の自動化まで済んだ状態で提供されるのが最大の特徴となる。これにより、アプリケーション展開までのスピードを加速すると共に、導入や運用にかかるコストを削減。さらに予測不能な需要まで柔軟に対応できる。

 現状、IAベースのハードウェア、Linuxをベースにしたシステムが製品として展開されており、インフラ部分を提供する「PureFlex」、アプリケーションプラットフォームを提供する「PureApplication」、分析やトランザクションなどのデータ処理に最適化した「PureData」の3種類がラインナップされている。2012年8月の出荷以来、製造業や流通業、システムインテグレーター、通信業、官公庁などで事例が出ているという。製品概要を解説した日本IBM 理事 ソフトウェア事業 WebSphere事業部 事業部長 三戸篤氏は「パターンテクノロジーに関しては、非常に大きな共感をいただいた。エポックメイキングな実績がいくつも出ている」と出荷後半年の好調さをアピールした。

日本IBM 理事 ソフトウェア事業 WebSphere事業部 事業部長 三戸篤氏

 今回追加されたのは、このうちPureApplicationの新製品と新しいパターンになる。

 まずエントリモデルの「PureApplication System W1500」が追加された。96コアからのスタートで、42Uのラージラックで提供してきた従来モデルに比べ、新モデルのW1500では32コア/64コアを搭載し、25Uのスモールラックで提供される。機能面は完全に同等だが、消費電力は30%削減。1層交流電源を採用したことで、日本のオフィスにもなじみやすくなった。

 三戸氏は「どんなアプリケーションなら96コアを使えるのか?というご意見もあった」とのことで、エントリーの敷居が高いという意見があったことに答えたという。価格面に関しては、「(従来の96コアモデルに比べ)コア数が1/3なので、心情的には価格も1/3とはいきたいが、実際は1/3を少し超えるくらい」(三戸氏)とのこと。とはいえ、導入の敷居が低くなったのは違いない。

顧客のニーズに応えたPureApplicationと新パターンの追加

高性能なPOWER7+を搭載したモデルが登場!

 また、POWER7+モデルの「PureApplication System W1700」を新たに追加。高い性能と信頼性を誇るPOWER7+の96/192/384/608コアモデルが用意される。「POWERのアプリケーションを動かしたいというニーズがあった。POWER7+の性能、AIXの可用性、ハードウェアレベルの仮想化を実現するPowerVMのセキュリティなど実績のあるUNIXサーバーとしての特徴に、PureApplicationのメリットを組み合わせた」(三戸氏)とのこと。

 さらにPureApplicationのキモとなる「パターン」の新規開発の意向も表明された。これまでデータ管理、ビジネスアナリスティック、アプリケーション基盤、ビジネスプロセス管理などの分野で提供されてきたが、新たにモバイル開発・実行基盤を提供する「Mobile Application Platform Pattern」、資産や施設を管理する「Maximo Asset Management Pattern」が提供される。日本でのパートナーも拡大しており、パターンの開発が進んでいるとのこと。

 買収したネティーザのテクノロジーをベースにデータ解析を高速に行なう「IBM PureData System for Analystic」に、新たにハイパフォーマンスモデル「N2001」が追加された。昨年末のソフトウェアアップデート、実績のある並列処理アーキテクチャーに加え、高速なハードウェアを採用したことで、従来モデルに比べて3倍のパフォーマンスを実現したという。

歴代のNetezzaアプライアンスの中でも大幅な処理性能の向上

 新コンセプトのコンピュータージャンルとして注目を集めた垂直統合型システムの代表製品となるPureSystemsだが、96コアからという敷居の高さがネックであった。今回のエントリモデルの投入により、中堅・中小企業など裾野の広い層にアピールしていくと思われる。

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