チューナー、アコースティックベースも出るぞ!
KORGと言えば、よそが絶対やらない製品を送り出す、ちょっと変わったメーカーというイメージですが(もちろんいい意味で)、実は世界中に多くのユーザーを抱えるチューナーも、このメーカーの代表製品なのです。チューニングはまさに音楽の基本であって、目立つ所では奇天烈な製品を出しまくりながら、こうして縁の下の力持ち的な機材もしっかりしているわけです。
今回の新製品「pitchblack Portable」は、いわゆる「ポリフォニックチューナー」と呼ばれるもの。TC electronicsの製品でも有名なアレです。例えばギターの6弦を全部いっぺんに鳴らした状態で、各弦の音程がそれぞれモニターできるというもの。さっさとチューニングを済ませたいライブや、弦1本のチューニングで全体のピッチが変わってしまうトレモロアーム付きのギターでは、実に重宝する便利なものです。
離れた場所からの視認性を向上させるために、大きく見やすいディスプレーを採用。足元のエフェクトボードに置いても、アンプの上に載せても、ピッチのチェックが可能です。音程のずれた弦をチューニングすると、その弦にフォーカスしたメーター表示をする「ストリング・シーカー」という機能もステージで活躍しそうです。2月16日発売予定で、メーカー希望小売価格は8400円。
そして電池駆動のモデリング・ギターアンプ「MINI5 Rhythm」。エフェクター、リズムマシン、チューナーを内蔵して定価1万5000円というお買得価格。マイク入力や、音楽プレイヤー向けのAUXインプットもあって、ビギナーがギターとセットで買えばほかに何もいらないという親切設計。アンプの両脇にストラップピンが付いているところにも注目です。ギターを前に下げ、このアンプを背負い、ヘッドセットマイクを使えば、ねり歩きながら弾き語りができる! もっとも、携帯に便利なように付いているのでしょうけど。
最後に、これは完全に個人的な趣味ですが、エレアコベースの「WARWICK RockBass Alien」シリーズがカッコ良かったです。今までは高くて手が出なかったのですが、今回のシリーズは定価で6万4000円からスタート。バリエーションには、4弦、5弦、6弦モデルがあり、それぞれフレットレス仕様と、ピックアップなどの違いでデラックス版が用意されています。
「アコースティックベースなんて何に使うのだ?」とロックの人は言うかもしれませんが、中空ボディだから軽いんです。4弦のスタンダードモデルで、なんと2.9kg。ソリッドボディのエレキベースは普通に4~5kgあったりして、背負って歩こうものなら確実に腰に来ます。40過ぎるとホント、ダメです。
昔のロック小僧やテクノ少年も齢を重ね、徐々にアンプラグドやアコースティック方面に向かっていくわけですが、その理由は簡単。楽器が軽いからです。生楽器で奏でられる音楽に「酸いも甘いも噛み分けた大人の成熟」みたいなものを感じる方々もいらっしゃるでしょう。しかし齢を重ねても人は精神的に成長なんかしません。少なくとも私はそうです。私だけかも知れないので先に謝っておきますが、それはさておきAlienシリーズ、カッコいいです。
しかし、年明けからKORGはぶっちぎりの勢いで飛ばしています。おそらくこれだけでは済まないと思われるので、このアニバーサリーイヤー、まだまだ期待していきたいところです。
著者紹介――四本淑三
1963年生まれ。高校時代にロッキング・オンで音楽ライターとしてデビューするも、音楽業界に疑問を感じてすぐ引退。現在はインターネット時代ならではの音楽シーンのあり方に興味を持ち、ガジェット音楽やボーカロイドシーンをフォローするフリーライター。