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はじめてのEMCストレージ導入 第1回

サーバーやコンシューマ系NASではダメですか?

仮想化やサーバー集約に共有ストレージが必要な理由

2013年07月08日 08時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp イラスト●野崎昌子

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空調機の部品を作っているイーエムシー工業の総務部では、サーバーの仮想化と社内データの統合化のためにストレージの導入を検討していた。なぜストレージの導入が必要なのか? サーバーやデスクトップ型のNASではダメなのか? システムインテグレーターの稲葉の鋭い意見が刺さる。

データも管理負荷が増大!の現状とは?

 空調の部品を作っているイーエムシー工業は都内にオフィスを構える中堅メーカー。総務部の係長は、総務の仕事のかたわら、イーエムシー工業の情報システムを一手に担っているいわゆる非専任管理者だ。

 少しコンピューターに詳しいという理由でホストコンピューターのおもりをしていた前任者から情報システムを引き継いだという経緯は、多くの日本の中小企業と同じ。こんな経緯を見れば、「総務のおまけの仕事」になりそうだが、河西係長はもともとIT関連の興味や感性が高かったからか、情報システムの仕事に対して非常に前向きだ。限られた予算を有効に活用し、モバイルPCやグループウェアの導入など、イーエムシー工業の情報システムをより戦略的に作り直してきた。昨年は、メールシステムのクラウド化をいち早く進め、コスト削減やモバイル活用を実現したことで、社長から表彰状までもらった。

 そんな河西係長が今年取り組んでいるのが、サーバーの仮想化と社内データの集約化だ。従来、イーエムシー工業では部署ごとに低価格なサーバーやNASを導入していたのだが、設計関連のデータが肥大化してきたことで、受け渡しや共有に齟齬を来すようになってきた。顧客案件のセキュリティやデータ保全を考えると、複数のサーバーを統合したほうがよいことも明らかだ。各部のサーバー管理者からリクエストされたこともあり、今年こそ予算をとって、サーバーの仮想化と社内データの集約化を一気に進めようと考えているのだ。

サーバーや低価格NASじゃダメ?
共有ストレージが必要な理由

 河西係長が力強いパートナーとして信頼しているのが、古くから同社のシステムを担当しているSIerの稲葉(以下、SI稲葉)だ。営業でありながら、技術に詳しいSI稲葉は中小企業の実情にあわせつつ、コスト効果の高いソリューションをいち早く提案してくれる。

 今回のプロジェクトに関しても、仮想化とデータの集約化について熱心にその効果を語り、その成功の鍵を「共有ストレージの導入である」と説いていた。さっそく河西君と稲葉の作戦会議の模様をのぞいてみよう。

河西係長:稲葉さん、今回のサーバー仮想化と社内データの集約プロジェクトに、共有ストレージが必要なんですか? データはサーバーごとに入れればよいのでは? 

SI稲葉:御社はこれまでサーバーやNASにデータを格納してきたのですが、これだと管理が部署ごとにバラバラになってしまいます。また、大事なクライアントのデータが消失したり、漏えいしたりという事態を避けるためにも集約化したほうがよいです。そのため、データ保護や信頼性の高い専用ストレージを導入し、そこにデータを集約しようというわけです。

信頼性の高い専用ストレージにデータを集約

河西係長:ファイルサーバー専用機のようなやつですよね。見た目はサーバーと同じなのですが、やはり中身は違うんですか?

SI稲葉:違いますね。ソフトウェア的にも、ハードウェア的にもデータ保護や信頼性を最優先としていますし、機能面でも非常に優れています。データ容量を節約したり、履歴を元に過去のデータを戻したり、暗号化をかけたり、まさにストレージならではの機能があるんですよ。

河西係長:なるほど。仮想化する際も、やはりストレージが必要なんですか?

SI稲葉:はい。仮想化に関しては、複数サーバーでストレージから共有データを取り出せる形が一般的です。こうすることで、サーバーが障害を起こした際でも、別のサーバーで仮想サーバーを起動できます。

 このように専用の共有ストレージを導入することで、仮想化もデータ集約も効率の高いソリューションになるという。

SMB向けストレージでVNXeがオススメの理由

 こうして河西係長とプロジェクトを進めてきたSI稲葉が共有ストレージとして検討しているのが、EMCの「VNXeシリーズ」である。特に、SI稲葉に言わせるとエントリモデルの「VNXe3150」はサーバー仮想化と社内データの集約を目論む今回のプロジェクトでは最適だという。ストレージに関してあまり知識のない河西係長はSI稲葉と製品選定について議論を交わしていた。

河西係長:ストレージって、周辺機器メーカーのNASみたいなものを想定していたのですけど、VNXeはちょっと高価ですよね。予算とるのにあたって、選定理由がけっこう重要になるんです。どこらへんが違うのでしょうか?

SI稲葉:確かに御社くらいの会社の場合、価格面でコンシューマー系のNASを導入することが多いです。しかし、こうした製品はあくまで個人ユーザー向けの低価格な部品を使った製品ですし、RAIDやソフトウェアに関しても実績がありません。正直、データ保護や信頼性という点で、難点を抱えています。先日も、御社の営業部で使っていたNASが壊れて、あやうくデータが取り出せないところでした。

あやうくデータが取り出せないとこだった!

河西係長:そうでした(汗)。RAIDをかけてあるからデータは安心だと思っていたら、どうやらファームウェアの不具合だったようで、すごい困りましたよ。確かにああいったことが起こると困ります。

SI稲葉:その点、まずEMCはメインフレーム時代からストレージを手がけてきた専業ベンダーなので、品質面でも信頼できます。以前はハイエンドの高額な製品が中心だったので、手が出なかったのですが、VNXeであれば100万円を切る価格で導入できます。カタログを見ても、性能や機能面でも御社の要件にぴったりなんです。

河西係長:なるほど。では、そのVNXeの導入を前提にして、早急に情報収集してもらえますか? サーバーやデスクトップ型のNASに比べて、やや高価なのは事実なので、投資対効果がきちんと出るのか知りたいです。あと、実際に日々の運用は私がやることになるので、操作や運用に関しても調べて置いてください。

SI稲葉:わかりました。先日、EMCのサイトで販売パートナーのソリューションを紹介している「ソリューションファインダー」というサイトを見つけました。VNXeの導入を手がけているパートナーを探してみたので、直接コンタクトをとってみます。あと、セミナーもあるようなので、足を運んでみますよ。

 ということで、導入を前提にVNXeの情報収集を開始したSI稲葉。次回はセミナーに参加し、EMCの担当者と直接情報交換し、VNXeの実態を探る。

(提供:EMCジャパン)

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