Facebookアカウントを持たずに通話もできる
「Facebook Messenger」は通信業界に影響が!?
Facebookはメインのアプリ以外に、メッセージの「Facebook Messenger」、写真アプリの「Facebook Camera」、”いいね”を管理する「Facebook Pages Manager」、友人と写真や動画を共有する「Facebook Poke」など複数のアプリを持つ。その中でもモバイル・通信業界に大きな影響を与えそうなのがFacebook Messengerだろう。オペレーターの通信ネットワークの上で音声通話、テキストメッセージ、チャットなどのコミュニケーション機能を提供する事業者はOTT(Over the Top)プレイヤーといわれ、SkypeやWhatsAppと同様にFacebook Messengerもこのカテゴリに分類される。
Facebook Messengerは2011年に公開、2012年末にはAndroid版において、Facebookアカウントを持たない人でも利用できるようになった。これにより、既存ユーザーはFacebook MessengerでFacebookユーザー、さらに非ユーザーともやりとりが可能となった。そして1月はじめ、今度はiOS版に音声通話を可能にするVoIP機能を加えた。VoIP機能は現在はカナダとアメリカの2カ国で利用できる。
Facebookメッセンジャー | |||
---|---|---|---|
価格 | 無料 | 作者 | Facebook, Inc. |
バージョン | 2.1.1 | ファイル容量 | 10.7 MB |
カテゴリー | ソーシャルネットワーキング | ユーザーの評価 | (4.0) |
対応デバイス | 全機種 | 対応OS | iOS 4.0以降 |
もちろんVoIPは即、電話の代わりになるとは言えない。だが、Facebookは10億を上回るユーザーを抱えており、今後この機能を提供地域とプラットフォームの両方で拡大していくと考えると、インパクトは大きいだろう。
まずはオペレーター。同アプリがデータ通信を使っている以外は、脅威でしかないといえる。AT&TなどiPhoneを提供するアメリカのオペレーターにとって、音声通話はいまでも重要な収入源だ。開始してまだ1ヵ月も経過していないが、Facebook Messengerに対するオペレーターの反応が気になるところだ。
Facebook Messengerに限らず、オペレーターの中核サービスがこれまでのように独占的ではなくなり、消費者にさまざまな選択肢が出てきている。携帯電話番号を意識せずにモバイル端末でコミュニケーションする場面がさらに増えるだろう。オペレーターは中核事業をどう強化するのか、顧客にとってどのような存在になるのかがますます問われている。
また、他のVoIPサービスも、自社サービスのユーザーの多くがFacebookユーザーでもあることを考えると、強力なライバル出現となりそうだ。Googleの「Google Voice」、Appleの「Facetime」なども状況は同じである。Facebookが提携しているSkypeも、デスクトップでVoIP機能の提供がはじまると統合が意味をなさなくなるし、競合の関係になる。
ソーシャルなネットワークとコミュニケーションは近い関係にある。FacebookのVoIP展開は当然な流れと見ることができる。そういえば、Facebookフォンのうわさも以前から根強い。何度か期待が裏切られているが、憶測が絶えないところをみると、いつか登場するのだろうか?
なお、Zuckerberg氏はモバイル戦略の3つの柱として、1.製品の構築、2.ソーシャルグラフを活用するプラットフォーム/サービスの構築、3.収益化、を掲げていると述べている。
筆者紹介──末岡洋子
フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている
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