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末岡洋子の海外モバイルビジネス最新情勢 第71回

FacebookがVoIP対応のアプリを投入 その戦略を見る

2013年02月06日 18時30分更新

文● 末岡洋子

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 Facebookが着々とモバイル戦略を進めている。IPOのための書類でモバイルにおけるビジネスモデルが課題であることが公になってから約1年、1月30日に発表した2012年第4四半期(10~12月)の業績発表で、モバイルは広告収益の4分の1を占めるに至るなど成果がみられる。創業者兼CEOのMark Zuckerberg氏は「われわれはモバイル企業になった」と胸を張る。Facebookのモバイル戦略をまとめてみたい。

Facebookは、メッセンジャーアプリの「Facebook Messenger」にVoIP機能(アメリカのみ)やFacebookのIDを持たない人ともやりとりできる機能を追加するなど、モバイルに本腰を入れている

モバイル広告が好調、広告全体の23%に

 Facebookのこの1年の取り組みの多くが、モバイルにフォーカスしたものだった。主として、モバイル広告、モバイルアプリの2つに大別できる。

 収益に直接つながるモバイル広告では、スポンサー付きの記事広告形式で展開している(PC版にはディスプレー広告もあるが、画面に制限のあるモバイルでは難しい)。8月にはアプリにも拡大し、ユーザーのニュースフィードに開発者らがオススメのアプリを表示できるようにした。

 第4四半期にFacebookは広告事業から13億3000万ドル(全体の84%)を売り上げたが、このうちの23%がモバイル広告と報告している。1年前にはゼロ、第3四半期の比率は14%だったので、急ピッチで成長しているといってよいだろう。もっとも、いまだに新規ユーザーが増えている上、モバイルによるアクセスがPCを上回ったと聞けば、モバイル広告の成長は当然にも見える。

 今後この分野ではフォーマットの拡充、1月に発表されたソーシャルグラフの検索機能「Graph Search」の活用など、さまざまな展開が予想される。

モバイルアプリはHTML 5からネイティブへ

 次にアプリの戦略を見てみよう。Facebookは2012年秋、iOS向けに提供されるアプリをHTML 5ベースからネイティブに切り替えた。HTML 5はプラットフォームに依存しないことから、AppleやGoogleに縛られたくないという意図があったと思われるが、性能などの面で課題を感じていたようだ(これについては、Facebookの発表後にアプリ開発フレームワーク企業のSenchaがHTML 5を使って高速に動くFacebookアプリを開発してみせ、HTML 5への懸念払拭を図っている)。

 11月にアメリカで開かれたイベントでFacebookのモバイル担当プロダクトマネージャーはこの理由について、「多くのユーザーにリーチできるメリットを優先させ、HTML5にフォーカスしてきた。利用者数の規模拡大という目標を達成したところで、アプローチを変えることにした」と説明していた。Androidもその後、ネイティブに書き直したバージョンを公開している。ネイティブアプリによる性能アップと同時に、アップデートの頻度を上げて新しい機能や機能強化を次々とリリースするアプローチに切り替えている。

 ネイティブへの移行がどれぐらい影響しているのかは不明だが、成功はしている。comScoreが1月に発表したアメリカにおけるモバイルアプリの利用調査で、Facebookは1位となった。Facebookはアプリの滞在時間が最も長くシェアは23%、2位のInstgram(Facebook)とGmailの3%を大きく引き離しての首位だ。ユニークビジターについても、これまでトップだったGoogle MapsがiOSの標準搭載から切られたことでユニークビジター数が落ち込んだこともあり、Facebookが追い越した。

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