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T教授の「戦略的衝動買い」 第228回

紙でもないスマホでもない手書き? 電子ノートを迷走買い

2013年01月30日 12時00分更新

文● T教授、撮影● T教授

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制約の多いパソコンとの連携

 電子ノートをパソコンにUSB接続すると、外部のUSBメモリーとして扱われる。筆記したノートブックをパソコンにコピーしたり、バックアップすることもできる。カラー表示が当たり前パソコンだが、電子ノートの筆記データは「モノクロBMP」画像としてパソコンに出力される。また、パソコン側の画像データは、「600×700ドットの16色BMPファイル」という条件さえクリアすれば、電子ノートへの取り込みも可能だ。

条件付きではあるが、一応パソコンとのデータ連携も可能だ

電子ノートはパソコンから見るとリムーバブルディスクとなる。パソコンとのデータのやり取りは、「BACKUP」「EXPORT」「IMPORT」という3つのホルダーを介して行なう

 電子ノートに取り込める画像データは、一般的なパソコンのアスペクト比とは異なる、少し寸足らずで短い縦位置画像のみ、取り込むことが可能だ。電子ノートに取り込んだパソコン画像は、16階調のモノクロ表示となる。また、電子ノート上では、読み込んだパソコン画像の編集はできないが、新たに文字や絵を書き加えることはできる。残念ながら、けっこう面倒くさい減色処理やサイズ変更を行なった後で転送した電子ノート側で、何をするのが一番価値があるのか、筆者にはいまだ使い道が思いつかないので、まったく活用できないでいる。

電子ノートのメニューから、「連携」→「画像書き出し」を選択してパソコンに出力された手書きのメモページ。BMPファイルなので拡大するとジャギーが目立つ

PowerPointの任意の画面をJPEGで出力、お絵かきソフトでBMP16色に減色し、サイズを600×700ドットにリサイズ。それをUSB接続した電子ノートのIMPORTフォルダーにコピー

電子ノート側メニューで「連携」→「画像取り込み」を選択して取り込んだ画像。16階調のモノクロ画像表示となる。画像にペンで上書きができるが、これをやるまでのプロセスを考えると、使い道が思い浮かばない……

 すでにITワールドの最先端では、Wi-Fiペンで紙に書いた手書きスケジュールが、Googleカレンダーと自動的に同期できる時代だ。そんなクラウドコンピューティング全盛時代に、パソコンとの限定されたケーブルデータ交換のみを引っさげて登場したレトロイメージの電子ノートは、極めて特殊な注目をすべき存在だ。しかし筆者には、買うかどうか悩んでいる人の背中を押せる自信が、今のところまったくない。

 現時点で、電子ノートとパソコンの連携は、BMP画像データのやり取りしかできない。そのため、パソコンとの意味あるデータ連携は、ほぼ期待できない。そうなると、現在使っている手書きのシステム手帳との機能比較や、その対価の妥当性がポイントになる。その場合の比較ポイントは、やはり液晶パネルに文字を書くという手の感触や、文字の見やすさだろう。価格的にはほぼKindle Fire HDと同額だが、比べるスペックがあまりにも食い違っているので、単純な比較は難しい。

 IT世界では、いつまで待っても「極めつけ」が登場しない手書き世界。デジタルとアナログの統合や混成には背を向けて、電子ノートはITとは無縁のシステム手帳派の支持を受けて、新しい市場を開拓するのか否か? 筆者のように、「電子ノートの周囲4ヵ所には『SHOT NOTE』のマーカーを切り取って貼り付けてみよう」なんて考えているユーザーは、お呼びではないことだけは確実だ。

 もし登場するなら、「電子ノートII」は「CloudPad」なんて呼べるような、一昨年ASUSTeKから発売された「EeeNote」を凌駕する、「目のつけどころがシャープ」な商品をお願いします。

約1000枚分のメモページが収納、管理できる手書きの「電子ノート」だが、明らかに使う人を選びそうだ。衝動買いしたが、筆者には正しい評価が難しいアイテムだ

■関連サイト

T教授

今回の衝動買い

アイテム:電子ノート WG-N10
価格:ヨドバシ・ドット・コムにて1万4800円で購入

T教授

 日本IBMから某国立大芸術学部教授になるも、1年で迷走開始。今はプロのマルチ・パートタイマーで、衝動買いの達人。
 T教授も関わるhttp://www.facebook.com/KOROBOCLで文具活用による「他力創発」を実験中。

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