今回のことば
「PC業界からデフレ脱却を促進し、日本経済を元気にしていく」
(レノボ・ジャパンの渡辺朱美社長)
2013年1月22日、東京・日比谷の帝国ホテルで開催された一般社団法人日本コンピュ-タシステム販売店協会の「平成25年新春セミナー・賀詞交歓会」において、レノボ・ジャパンの渡辺朱美社長は、約400人の業界関係者に、「PC業界からデフレ脱却を促進し、日本経済を元気にしていこう」と呼びかけた。
Windows 8が登場したが、厳しかった2012年のPC業界
来賓の挨拶で登壇した渡辺社長は、「2012年のPC業界は大変厳しかった。夏からはWindows 8の買い控えにより市場が冷え込み、Windows 8発売以降も、期待したほどジャンプはしなかった。とくにコンシューマ市場が厳しく、法人市場は需要があるものの、価格が下落し、各社が利益を確保に苦労している」と前置きしながらも、「しかし、2013年は、非常に明るい兆しが見えてきた」と語る。
その理由としてあげるのが、安倍政権後の景気回復策への期待感だ。
「今年に入って、多くのパートナーを訪問したが、共通しているのは、今後の見通しに対してポジティブであるということ。強気なプランを立てている会社も多い。円安、株高の動きにより3月期の利益が予想以上に上昇し、急いで予算消化、追加投資の検討を行う企業の動きが一部にみられている。政府の13兆円規模の補正予算や、金融緩和措置も期待できる。PC業界に、その恩恵が回ってくるのは、意外に早いのではないか」と予測する。
PC用部品はドル建てで調達、円安のインパクトは避けられない
しかし、その一方で、こんな指摘もする。
「脱デフレの動きとともに、脱円高の動きが加速し、急激な円安に傾いている。マクロな日本経済にとってはいいことだが、PCメーカーには大きな痛手となっている」
渡辺社長はその理由として、PCの主要なコンポーネントを、ドル建てで調達していることを示す。「為替変動はすぐにコストアップにつながる。ついこの間までは、1ドル80円だったものが、1ドル90円になっただけで、10%以上のコストアップ。これまでと同じ発想でビジネスをしていては続かない」と危惧する。
だが、こうした動きを打破することもできると指摘する。
「幸いなことに、Windows 8が登場し、タブレットPC、コンバーチブルPCといった新たな製品が登場し、新たな需要喚起ができるようになった。これは新たな価値が訴求できるきっかけにもなる。PC業界を成長させるためには、業界全体が新たな価値を訴求し、お客様にその価値を認めてもらい、その対価をきちっと払っていただくことが大切である。いま、そのための努力をスタートすべきである」とする。
続けて、こうも語る。
「この場で、提案したいのは、PCメーカー、販売店など、業界が一丸となって付加価値を高め、お客様の財布の紐がゆるむような提案をして、その対価を支払ってもらうことで、PC業界からデフレを脱却していくこと。PC業界から日本経済を元気にしていこう」
Windows 8によって、付加価値提案を加速することができるタイミングを迎えたPC業界こそが、脱デフレを推進するドライバーになるというわけだ。
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