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2012年10〜12月決算を発表

アップル、過去最高の業績—しかし株価10%以上下落のなぜ?

2013年01月24日 19時00分更新

文● 鈴木淳也(Junya Suzuki)

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2つの大きなトレンド—中国重視、Macの重要度低下

 まずは個々の数値を細かくみていこう。今回の決算では、昨年と比較して売上の集計方法で大きく異なる点が2つある。1つは、従来までアジア地域は「アジア」「日本」の区分けだったのが、今回からは「中国圏(Greater China)」「日本」「それ以外のアジア」の3区分となった。Greater Chinaには中国本土、香港、台湾の3つが含まれている。

 また、従来までコンピューター製品(Mac)では「デスクトップ」「ポータブル」の2カテゴリーに分けて個々に集計し、さらにiPhoneやiPodを含むその他製品と別個の扱いだったものが、今回からは「Mac」としてあくまでカテゴリーのひとつという扱いになった。

 詳細は「2013年度第1四半期売上」(PDF)と「2013年度第1四半期売上」(PDF)をご覧いただくと分かるが、これだけでも「市場としての中国の重要性を重視」「同社におけるMacの重要性の低下」という2つのトレンドが読める。

 iPhoneとiPadをめぐる情報に注目が集まりがちな今回の決算だが、同四半期の販売台数が410万と昨年同期比で110万台も減少したMacは、30〜50%近くも伸びているiOSデバイスと比較すると厳しい状態にあるといえる。iOSデバイスが売れ、それと一緒に利用するための製品としてMacが選ばれ、PC不況が叫ばれる昨今においてもシェアが伸び続けていた状況を考えれば、今回の失速感は否めない。

 これについて、CEOのティム・クック(Tim Cook)氏はふたつの指標を示して説明を行っている。ひとつは、同四半期のPC販売が全体に不調にあり、そのトレンドの中での影響というもの。IDCによれば、同四半期の世界のPCの出荷台数は前年同期比6.4%減少している。もうひとつは、「生産問題で(第8世代)iMacが第4四半期に十分な量を出荷できなかった」というもの。特に、iMacの販売台数は前年同期比で70万台も減少しており、2013年度第1四半期の期間が1週少なかったことを考えれば、全体的な影響は誤差の範囲で比較的軽微という。

 シェアの一部をiPadなどのデバイスが侵食した可能性は否定していないが、Mac市場が若干縮小する一方、(スマートフォンやタブレットへの)大きなトレンドシフトは起きていないとの認識のようだ。

中国におけるiPhone販売状況

 中国の台頭もAppleの中での大きなテーマだ。23日に行なわれた決算発表会の電話会議の中で、クック氏はアナリストからの「米国以外でのiPhone 5の販売状況」の質問に答え、その中で「中国でのiPhone販売の伸びが世界でも際立って高く、3桁成長を実現している」と繰り返し強調している。

 中国でのiPhone 5販売は12月中旬開始のため、数字としてはカウントするほどのものではなく、製品としてはiPhone 4S以前やその他デバイスに関する話題だとみられるが、中国を含む新興国での需要増がAppleの主要な成長ドライバーであることをアピールしているようだった。

 以上の2つが決算発表からうかがえるApple内部でのトレンドの変化だが、次に株価下落の原因について分析する。

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