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Facebookで1000万いいね!「Otaku」が世界で成功したわけ

2013年02月20日 07時00分更新

文● 盛田 諒(Ryo Morita)/アスキークラウド編集部

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TOMの原動力はしたたかで柔軟な発想力

 TOMはブランド企業らしく、出版社に対しても礼儀正しく振る舞う。

 著作物についても、出版社と打ち合わせながら事業を進めている。そもそもサイトをはじめたのも著作権がきっかけだった。アジアへ企業視察に行ったとき、日本の漫画が海賊版として大量に売られていたことにショックを受けた。

 もちろん制作者側への還元はなく、まさに市場を海賊にのっとられている状態だった。しかし、亀井さんはそれを出版社にとってチャンスだと考えた。

 「海賊版がこれだけあるってことは、逆に言えば日本のコンテンツが人気で、受け入れられてるってことですよ」

 そんなTOMが今後ねらうのは、日本企業や日本のクリエイターが海外に進出するときの窓口業務だ。

Image from Amazon.co.jp
飛雄馬、インドの星になれ!―インド版アニメ『巨人の星』誕生秘話

 日本の商品を、現地で受けのいい形に加工して売る。野球をクリケットに置き換えて『巨人の星』をインドで展開するようなケースが増えるはずだと亀井さんは考えている。そのとき海外で何が求められるのか、TOMを使えばすぐにわかる。

 「韓国ドラマでやっているのと同様に、ユーザー(視聴者)の投票で内容を決めればいいんです」

 代理店のような機能を果たすTOM。彼らが成功すれば、ほかの業界でも「文化」を足がかりにした代理店は出てくるだろう。初めのマーケティングリサーチさえできず、一歩を踏み出せずにいる日本企業が、彼らを必要とすることも増えるかもしれない。

 TOMのビジネスは、日本独特のオタク文化があるかぎり続くもの。日本国内のオタク産業がしぼんでしまったらどうするか聞いてみると、いたずらっぽく、こんな答えが返ってきた。

 「国内の市場が縮小して、海外に活路を見出す企業が増えれば、そこをサポートできるのは自分たちだと思ってます。もし仮にそういう企業がなくなったときは、ゲームを作っているかもしれません。自分たちでコンテンツを作るやり方も面白いなと思いますね」

 オタク情報の発信、オタクブランドの育成、そしてオタクコンテンツの制作まで――今後もTOMの成長はとどまりそうにない。


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