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ニワンゴ杉本誠司代表が語る

ニコニコは「非常識」じゃないと運営できない

2013年02月01日 11時00分更新

文● アスキークラウド編集部

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ネットでやるなら、ネットに由来する考え方を持つ

 Webサービスを運営する上での必要なセンスは、「ネットに由来する考え方を持つこと」だと杉本氏は主張する。

 「目と目を合わせて話さないとか、コンテンツの二次利用をしてしまうとか、リアルな社会からすると非常識かもしれない。でもネットではそれらが常識的に行なわれている可能性がある。例えば『ネットには罵詈雑言がある』という見方は多いが、罵詈雑言そのものを禁止する法律はない。完全に“クロ”でないなら、ポジティブな可能性を追求するのがネットなんです」

 その中で、やるべきこと、やってはいけないことを自問自答しながら運営するのがインターネットサービスのあり方だという。

 そこで杉本氏が例に出したのが、ネットと公職選挙法の話だ。選挙活動と政治活動の違いは極めてあいまいで、それまで「(選挙活動を禁止している)法に触れるとまずいから活動そのものを控えよう」という考えが従来の考え方だったのが、現在は「政治活動に当たると思われることは積極的にやってみよう」と空気が変わってきている、と語る。

 「確実にクロではないことはやってみる。そもそも、やらないということに対して疑問を持つ。そうした既成概念に捕らわれない判断が新しい価値を作っていく。当然リスクがあるものなので、リスクヘッジが前提条件です」


大切なのは新しい「ネットの常識」のため

 「何より重要なのは、ユーザー・オリエンテッドであること。ニコニコ動画を見ない人がニコニコ動画を使ってプロモーションできるわけはないし、Facebookを知らない宣伝部長が『Facebookを使おう』と考えても失敗する。ユーザーにとっての『当たり前』が何かを知るべきだと思います」

 そうしたネットの考え方は、じわじわと現実にも影響を与え、変化させはじめている。その象徴が、昨年11月にニコファーレで開催されたネット党首討論会だったという。自民党の安倍晋三現首相をはじめ、有力政党10党の党首を呼び、討論の様子をニコニコ生放送で配信したものだ。

 「来場者は1時間で146万人。5年前にはありえなかったイベントです。党首たちもまさか、LEDに流れるコメントをバックに討論するなんて想像しなかったのではないでしょうか。ネットにおける歴史的な変化だったと思います」

ネット党首討論会

 今年7月の参院選では、さらに大きな変化が起きると杉本氏は予測する。「そこまで来ると、どんなビジネスに関わっている人たちもネットそのものを理解しなければならない時代になったと言えるでしょう」

 「短期的なビジネスメリットを考えるのではなく、リアルの常識が覆ったとき、歴史のターニングポイントを作ることができる。後世に名前を残せるかどうかは、常識を疑えるかどうかにかかっている。僕たちはそうしたところを考えながら事業を進めているんです」

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