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BIコンシューマーに最適な「ストーリーボード」とは?

プレゼンテーションとBIの絶妙な融合を目指したYellowfin

2013年01月21日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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ビッグデータの登場で、従来型のBI(Business Intelligence)にも変革の波が訪れている。そんな新世代BIの旗手ともいえる豪Yellowfinが提唱するのは、プレゼンテーションとBIを融合した「ストーリーボード」という新UIだ。

BIコンシューマーを狙った新世代BI

 Yellowfinは、データ分析によって意思決定を支援するいわゆるBIツールのベンダーで、2003年から「Yellowfin」を展開している。ビジュアルなダッシュボードやレポートなどを持つほか、iOSやAndroid用アプリやコラボレーション機能などを提供する。国内では、京セラ丸善システムインテグレーション(KMSI)が国内の総代理店を務めており、2012年12月に最新版の「Yellowfin 6.2」を発表したばかりだ。

 Yellowfinが目指したのは、既存のBIでのコストの問題と複雑性を解消し、より裾野の広いユーザーに利用してもらうことだという。豪Yellowfin CEOのグレン・ラビー氏は、「今までBIは経営層に近い専門のアナリストをターゲットにしてきたが、私たちがフォーカスしているのは、いわゆる“BIコンシューマー”だ。情報を用いて、意思決定し、実際に行動を興す人のためのツールを目指している」とのことで、BIの民主化を目的に掲げている。そのため、Yellowfinでは、通常複数モジュールで提供されている機能をワンパッケージに統合し、価格面でも中小企業で導入しやすい設定にしてあるという。

豪Yellowfin CEO グレン・ラビー氏

 また、ビッグデータ分野でも数多くの実績を持つ。ラビー氏は、「Yellowfinはプレゼンテーションを受け持っているが、さまざまなデータソースとつなげる。GreenplumやVertica、Vectorwise、SAP HANAなどのほか、Hadoopで活用する事例もある」とアピールする。

プレゼンからBI機能を使えるストーリーボード

 最新版のYellowfin 6.2では、パフォーマンスやセキュリティの向上、検索機能の拡充を図ったという。「BIを利用するのに課題になっているのが、複数のデータベースから必要な情報を取り出すことだ。今回は検索やユーザーインターフェイスを改良し、レポートやダッシュボードも視覚的にも探しやすいようにした」(ラビー氏)。また、データ比較をより視覚的に行なえる「インフォグラフィックス」や「ヒートグリッドチャート」など新しいチャートを追加した。さらにレポートへのコメントや、ドリルダウンしたレポートをブックマークやスナップショットの機能を拡充した。複数ユーザーでレポートを効率的に共有したり、ある時点のものを保存することが可能になる。

コーラの大きさで売り上げを表現したインフォグラフィックス

こちらは色の濃淡で傾向を知るヒートグリッドチャート

 そして、Yellowfin 6.2の最大の特徴は、プレゼンテーションを融合することで、資料から直接BIの機能を利用できる「ストーリーボード(Storyboard)」と呼ばれる新機能だ。もともと、iPadアプリ用のアイデアで、レポートの間にスライドを追加したり、コメントを挿入できないかという多くの顧客から寄せられた要望をベースにしているという。

 従来のBIでは、複数のレポート画面を統合したダッシュボードをベースに意思決定のサポートを行なってきたが、実際は数値データの背景や理由を説明しなければならない。そのため、多くのユーザーはBIのレポートをプレゼンテーションに貼り付けて、説明を行なっていた。「確かに、一般的には“メールはコラボレーションのために、パワーポイントは意思決定のために”と言われる。しかし、パワーポイントのファイルを多くのユーザーに配布したり、回覧するのは大変だし、バージョンや履歴の管理も難しい。セキュリティ面でも心配が多い」(ラビー氏)といった課題を持っている。

 これに対して、ストーリーボードではレポートとプレゼンテーションの機能を統合しているので、コピー&ペーストの必要がない。「プレゼンから直接基準値を変えたり、ドリルダウンしたり、フィルターを変更できる。日本のレポートを見せてくれと言われても、フィルタを変えればすぐに対応できる」(ラビー氏)。その他、ビデオを貼り付けたり、コメントを挿入することも可能。ビジネスの現状を動的に、自由に表現できるわけだ。ラビー氏は、「多くの人がBIを使えるようにする。BIを戦略的な資産にするものだ」とアピールする。

初出時、「米Yellowfin」と記載しましたが、正しくは「豪Yellowfin」です。お詫びし、訂正させていただきます。本文は訂正済みです。(2013年1月23日)

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