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開いてビックリ! 内部にはたくさんの工夫が

エビ反るウルトラブック「Yoga」のちょっと深い話(後編)

2012年12月30日 13時30分更新

文● 小林 久

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独特なヒンジ部を紹介した前編に続いて、後編ではYogaの内部にぐっと迫ってみる

開いて分かったYogaのスゴイ技術

── 分解したモデルが目の前にありますが、ただ360度回転するだけじゃなくて、ケーブルもこのヒンジの中に通さないといけないわけですよね?

レノボ 「はい。通り道はここしかないですから。ここはノートパソコンの設計でとても苦労する部分ですね。いかに線をたくさん通すかがエンジニアの腕の見せ所ですが、線をいっぱい通すと部品に使う金属を薄くせざるを得ないので壊れやすくなる。

内部から見たYogaヒンジ(二軸ヒンジ)

 モバイル機器は昔に比べて、ワイヤレスの機能が増えています。下側(キーボード側)にアンテナを置けば簡単なんですが、感度を考えるとLCDパネル側のほうがいい。そうなると線がどうしても増えてしまうんですね。そのために配線を細くするなど、設計のノウハウが必要になる部分です」

── カバーを開くとシート状のバッテリーがとても大きな面積を占めていますね。

レノボ 「Yogaは最初からWindows 8しかサポートしないという方針で企画された製品です。Windows 8をやるためにはバッテリーライフがとても重要。他社より1分でも長くしたかったので、できるだけ大きなバッテリーにしています」

トップカバー(キーボード面)を開くと、手前の大半がバッテリーが占めていることが分かる。シートタイプのリチウムイオン充電池を使用する

── 容量はどのぐらいでしょうか?

レノボ 「53.5Wですね。その上で薄くしないといけないので、ファンを特殊なものにしています。このタイプのファンを使用しているのは、多分レノボを除けば1社ぐらいでしょう」

── ファンは2つもあったんですね! 選択のポイントはやはり薄さですか?

レノボ 「薄くするのは必須条件でした。薄くしてファンの風量を稼ぐためには、ファンの直径を大きくせざるを得ないのですが、Yogaの場合、そのスペースがないし、ウルトラブックなので厚みも増やせない。だから必然的に2つ載せるしかなかったという形ですね」

なんと放熱に使っているのはデュアルファン。基板はその左側にあり、ヒートパイプで伝えた熱を背後に放出する。薄型化と風量を両立するための方策だが、ビジュアル的なインパクトも上々

── カッコいいので、名前を付けて強調してもよかったのでは? バッテリーの奥にあるのが基板ですか?

レノボ 「(左上にある一角を示して)基板はこれだけですよ」

── すごく小さいんですね。各社のウルトラブックと比較してもかなり小さいほうではないでしょうか。

レノボ 「この基板にも苦労したんですよね。面積だけ見れば、同じくらい小さなメーカーもありますが、Yogaの場合、メモリーは汎用品のDIMMが載ります。うちと同等サイズの基板で薄型ノートを開発しているメーカーもありますが、オンボードのメモリーだったりします」

メイン基板は各社とも小さくなる傾向があるが、Yogaについては汎用のDIMMスロットを搭載しつつ、この面積に抑えている

── 基板の形状やサイズに関しては、各社さんの考え方があるようです。基板を分割したり、逆に多少大きくても一体化してコネクターを減らしたり。

レノボ 「基板のコストは他社の2倍と言ってもいいと思います。Yogaに関しては、まず一番重視したのがバッテリー寿命。だから土地の取り合いでは、電機設計の肩身は狭い(笑)。バッテリー以外の余った場所に、それ以外の部品を置かざるを得ないわけです。

 まずバッテリーが優先して大きな場所を取る。メモリーも汎用品なので変えられない。さらにmSATAのSSDを入れる領域があります。唯一ワイヤレス(BluetoothとWi-Fiのコンボ)だけは小さいチップに変えています。

Wi-Fiモジュール

 ThinkPadの場合はモジュールやインターフェースの共通化が図られていて、法人向けなのでvProが必要。となるとインテル製のチップを選ばざるを得ないのですが、今回は個人向けなのでYoga専用に開発できるというメリットはあります」

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